1995年12月31日日曜日

アンドロメダ銀河 M31 のX線源


天の川銀河と同様に、天の川銀河から最も近い系外銀河である M31にもX線等の高エネルギーの電磁波を放射する多くの恒星系が存在します。上の写真は、X線観測衛星 ROSAT が撮影したM31のX線写真です。明るく(白っぽく)写っているところが強いX線を出している場所です。X線で明るい場所は、渦状腕や銀河の中心部分に当たります。またM31の周囲に分布する球状星団からも強いX線が検出されています。この写真に写っているX線源のほとんどは降着円盤を含む連星系です。M31では、銀河の外側よりも中心に近い部分により多くのX線源が分布していますが、その理由はまだ未解明です。
(執筆:2019/7/21)

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1995年12月30日土曜日

ブラックホール候補天体 LMC X-1


大マゼラン雲の中で最も明るいX線源は「LMC X-1」と呼ばれる連星系です。LMC X-1は、コンパクト天体を含む連星系だと考えられています。連星系中のもう一つの星から放出されたガスが、コンパクト天体の上に落下し、その過程でガスが加熱され、X線を放射します。伴星からのガスの流入でX線が発生すると、電子がガス中の原子から弾き出されますが、弾き出された電子が再び原子核と結合するときに、最初のX線とはまた別のメカニズムでX線が発生します。LMC X-1の運動を詳しく調べた結果、この連星系に含まれるコンパクト天体はおそらくブラックホールであることが示唆されています。
(執筆:2019/7/20)

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1995年12月29日金曜日

銀河のような形の惑星状星雲 NGC4361


上の写真は、惑星状星雲 NGC4361を水素原子が発する赤色の光で撮影したものです。太陽程度の質量の星の進化が進み、進化の最末期に星の外層が宇宙空間へと放出されると、このような星雲が形成されます。この写真の中央には、外層を失った後の恒星の芯(白色矮星)が写っています。この惑星状星雲にはヒゲ状の突起構造が見られ、この構造が銀河の渦状腕の構造に似ていることから、NGC4361は「銀河型惑星状星雲」と呼ばれることがあります。惑星状星雲中に見られるこのような細かな構造の成因はまだ十分には解明されていませんが、中心星が連星系であることや星雲内の磁場の作用によって形成されると推測されています。
(執筆:2019/7/20)

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1995年12月28日木曜日

NGC6240 銀河どうしが衝突する現場


宇宙には夥しい数の銀河が存在しますので、重力で引かれ合った銀河どうしが衝突することも決して珍しい出来事ではありません。しかし、銀河どうしが衝突しても、超新星爆発や新星爆発のように、人間が生きている時間の範囲内では、変化を知覚できるような目立った現象は起こりません。衝突中の銀河の構造は重力の作用によってゆっくりと変化し、それぞれの銀阿のガス成分は徐々に圧縮され、圧縮されたガスからは新しい星が生まれます。上の写真に写っているNGC6240は、そのような「衝突中の銀河」の例として知られています。この銀河は赤外線で非常に明るく、このことは衝突によって新しい星が大量に作られていることを示唆しています。
(執筆:2019/7/20)

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1995年12月27日水曜日

白鳥座新星1992


1992年に白鳥座にある連星系で大爆発が起こりました。この爆発現象には「白鳥座新星1992」(Nova Cygni 1992)という名前がついています。爆発を起こした連星系には白色矮星と呼ばれるコンパクトで高密度な天体が含まれており、この白色矮星の表面に降り積もったガスが核融合に適した状態に達したため爆発を起こしたと考えられています。1994年にハッブル宇宙望遠鏡によって撮影された上の写真には、新星爆発で形成された高速度で膨張するシェルが写っています。白鳥座新星1992は爆発時には肉眼で見えるほどにまで明るくなったことから、非常に多くの精密な観測が行われました。
(執筆:2019/7/19)

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1995年12月26日火曜日

降着円盤を含む連星系


我々の太陽は、単独で存在するという点で宇宙の中では比較的珍しい星だと言えます。一般的に、ほとんどの恒星は2つ以上の星からなる連星系として存在しています。星は質量が大きいほど早く進化するので、連星系を構成する星のうち、より大きな質量の星はより速く進化し、最終的に白色矮星、中性子星、ブラックホール等のコンパクトな重い天体へと進化します。質量の軽い星は遅れて進化し、最終的に外層が膨張する段階に入ると、膨張したガスはコンパクト星の上に落下していきます。この時の様子を描いたのが上のイラストです。青い巨大な星(後から進化した星)からの放出されたガスは、伴星であるコンパクト星に向かって落下し、コンパクト星の周りに降着円盤を形成します。コンパクト星の表面はガスの落下によって高温に加熱され、X線、ガンマ線等を放出したり、さらには大爆発を引き起こすこともあります。
(執筆:2019/7/19)

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1995年12月25日月曜日

地球の出


1968年のクリスマス休暇の時期、フランク・ボーマン、ジム・ラヴェル、ウィリアム・アンダースら3人の宇宙飛行士は、アポロ8号の司令船に乗って地球と月の間を往復しました(アポロ8号は12月21日に打ち上げられ、月の周りを10周まわった後、12月27日に地球に帰還しました)。アポロ8号は、サターンV型ロケットを使った初の有人飛行であり、人類初の月旅行であり、なおかつ深宇宙から地球を撮影した初の有人飛行となりました。上の写真はアポロ8号から撮影された有名な地球の写真です。ジム・ラヴェル宇宙飛行士にとってはアポロ8号が3度目のミッションでした。そして、この後、ジム・ラヴェル宇宙飛行士は、伝説に残るアポロ13号の司令官として最後のミッションに望むことになります。
(執筆:2019/7/19)

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1995年12月24日日曜日

天王星の衛星ミランダ


米航空宇宙局 (NASA) の探査機『ボイジャー2号』は、1986年に天王星とその衛星の近辺を通過しました。ボイジャー2号の探査では、天王星本体の表面にはあまり目立った特徴は発見されませんでしたが、その一方で天王星の最も内側にある大きな衛星「ミランダ」の表面には、いくつかの興味深い特徴が見られました。ミランダは1948年にヘラルド・カイパーによって発見された衛星で、氷と岩がほぼ同じ割合で混ざってできています。ボイジャー2号が撮影した上の写真には、ミランダ表面の険しい地形が鮮明にとらえられています。
(執筆:2019/7/18)

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1995年12月23日土曜日

プロメテウス、パンドラ、土星のF環


土星の16番目と17番目の衛星であるプロメテウスとパンドラは、土星の周りで「牧羊犬」のような働きをしています。土星の輪で最も外側にあるものは「F環」と呼ばれていますが、F環を構成する氷や岩の塊が環から離れようとすると、プロメテウスとパンドラの重力によって元の位置に引き戻されるのです。土星の輪は、土星の周囲を周る多くの衛星が引き起こす複雑な重力作用によって形作られています。
(執筆:2019/7/18)

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1995年12月22日金曜日

南極の夏


上の写真は、1990年12月にガリレオ探査機によって撮影された夏の初めごろの地球の南半球の様子です(写真の中心が南極)。地球全体が明るく見えるように、24時間に渡って撮影された多くの写真から、昼間の部分(明るい部分)のみを取り出してつなぎ合わせてこの画像は作成されました。南米(左中央)、アフリカ(右上)、オーストラリア(右下)は黒っぽく見えますが、氷で覆われた南極は明るく輝いていることがわかります。
(執筆:2019/7/18)

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1995年12月21日木曜日

三裂星雲に埋もれた高温度星


三裂星雲(M20)の赤く輝くガス成分の中心部分には、若くて高温の星の集まりが存在します。高温度星からの波長の短い光(つまり、エネルギーの高い光)は周囲のガス星雲の水素原子に当たり、水素原子から電子を弾き出します。そして、弾き出された電子が再び水素の原子核と結合するときに、特定の波長(色)の光を放出します。この星雲の赤色はこのようなメカニズムで作り出された色です。赤く光るガスと共に、黒く見える場所も存在しますが、このような場所には多くの塵(星間塵)が漂っており、背景の光を遮るために黒く見えています。星間塵は細長い形をした粒子で、低温度の星の周りで形成されたものだと考えられています。
(執筆:2019/7/17)

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1995年12月20日水曜日

銀河重力レンズ


上の写真の赤い銀河の周りに、四つの青い「光の点」があるのがわかるでしょうか? 赤い銀河の背景には、クエーサーと呼ばれる青い色の天体がありのですが、クエーサーの青い光は光の経路上に位置する赤い銀河の重力によって4つに引き裂かれ、手前にいる我々には4つの独立した光の点として観察されます。このような現象は「重力レンズ効果」と呼ばれています。天文学者たちは、4つに別れたクエーサーの像に見られる変光パターンを計測することで、重力レンズの原因となっている中心の銀河の構造や、宇宙の膨張率等の手がかりが得られると考えています。
(執筆:2019/7/17)

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1995年12月19日火曜日

アルベルト・アインシュタイン


この写真は、アルバート・アインシュタイン(1879年 - 1955年)がスイス特許庁で働いている時期に撮影されたものです。特許庁での仕事は物理学と直接関係あるものではありませんでしたが、この時期にその後の物理学上の大きな発見につながる着想を得たと言われています。アインシュタインが残した数多くの先見性のある科学的成果には、質量とエネルギーの等価性(E=mc^2)、光速度の制限が時間と空間の測定に与える影響(特殊相対性理論)、単純な幾何学的概念に基づくより正確な重力理論(一般相対性理論)などがあります。アインシュタインは1921年にノーベル物理学賞を受賞しました。
(執筆:2019/7/17)

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1995年12月18日月曜日

子持ち銀河 M51


「子持ち銀河」という名前で知られる M51銀河は、古典的な渦巻銀河の例としてよく取り上げられる銀河です。1500万光年しか離れていないM51銀河は比較的明るく、小さな望遠鏡でも観望することが可能な美しい銀河の一つです。M51は上の写真の左側の銀河ですが、M51の右上にも少し小さな銀河があり、そのためM51は子持ち銀河と呼ばれています。「子銀河」の方は、実はM51よりも遠方にある銀河で、そのために子銀河の前面にあるM51の渦状腕がシルエットとして見えています。M51銀河に見られるスパイラル構造は、この子銀河との重力相互作用によって生じたと考えられています。
(執筆:2019/7/16)

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1995年12月17日日曜日

ミールにドッキングしたスペースシャトル


1995年7月4日、地上から数百キロメートル上空の宇宙空間で、米国のスペースシャトル 「アトランティス」 がロシアの宇宙ステーション 「ミール」 にドッキングしました。この写真は、ロシアのソユーズ宇宙船からニコライ・ブダリン宇宙飛行士が撮影したものです。このミッションで、宇宙飛行士たちはアマチュア無線を使って生徒たちの質問に答え、宇宙実験室で生命科学の実験を行いました。
(執筆:2019/7/16)

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1995年12月16日土曜日

スペースシャトルから見たハワイ


上の写真は1988年10月に、スペースシャトル 「ディスカバリー」 に搭乗した宇宙飛行士が撮影したハワイ諸島です。ハワイには標高の高い火山があり、これらの山は、大型望遠鏡のサイトとして利用されています。ビッグアイランドとも呼ばれるハワイ島(左上)のマウナケア山頂には、ケック望遠鏡、カナダ・フランス・ハワイ望遠鏡、NASAのIRTF、JCMT、UKIRT、ジェミニ望遠鏡、日本のすばる望遠鏡など、世界トップクラスの望遠鏡がずらりと並んでいます。ハワイ島の真南にあるマウイ島にも、米空軍のマウイ光学基地やメーズ太陽観測所があります。
(執筆:2019/7/16)

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1995年12月15日金曜日

眠れる森の美女銀河 M64


「眠れる森の美女銀河」(スリーピング・ビューティー銀河)と呼ばれるM64は、一見すると穏やかに見える銀河ですが、実際には非常に不思議な性質を持った天体でもあります。最近の観測によると、この銀河の中心部分は外側の領域とは反対方向に回転していることがわかってきました。さらに興味深いことに、中心部と外縁部の中間に当たる部分では、星が周囲の塵やガスと反対方向に回転していることも明らかとなってきました。M64(NGC4826とも呼ばれる) の不思議な内部運動は、小さな銀河と大きな銀河が衝突した結果生じていると解釈されています。
(執筆:2019/7/15)

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ステファンの五つ子
乙女座銀河団
ソンブレロ銀河 M104

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1995年12月14日木曜日

アトラス・セントールロケットの打ち上げ


アトラス・セントールロケットは、75回以上の無人宇宙ミッションを成功させました。これらのミッションには、月面に軟着陸した最初の車両であるサーベイヤー探査機、木星と土星でのフライバイに成功したパイオニア10号、人工物として初めて太陽系から脱出したパイオニア11号、火星に着陸したバイキング探査機等の打ち上げが含まれます。アトラス・セントールロケットはロッキード・マーティン社が製造しました。
(執筆:2019/7/15)

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1995年12月13日水曜日

デルタロケットの打ち上げ


上の写真は、1988年に行われたデルタロケットの打ち上げの様子です。デルタロケットは、1960年以来200回以上の打ち上げに成功しています。これまでデルタロケットによってIUE、COBE、LAGEOS‐I、ROSAT、EUVE等の科学衛星、インマルサット等の商業用衛星が軌道に投入されてきました。デルタロケットは、NASAとの協力のもとマクドネル・ダグラス社によって製造されました。
(執筆:2019/7/15)

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1995年12月12日火曜日

環状惑星状星雲 Shapley 1


上の写真のような面白い形をした星雲は、太陽程度の質量を持った恒星の進化が進み、恒星内部での核融合が終了した後に現れます。恒星内部の核融合が終了すると、星の中心には白色矮星と呼ばれる密度の高い小さな天体が形成されます。その一方で、外側の大気層は宇宙空間に放出され、上の写真のような星雲となります。このような太陽程度の質量の星の進化の最末期に形成される星雲は、惑星状星雲と呼ばれています。上の写真の惑星状星雲は、有名な天文学者であるHarlow ShapleyにちなんでShapley1と呼ばれています。Shapley1は綺麗な環状構造を示す惑星状星雲ですが、一般的には環状以外にも様々な形状の惑星状星雲が知られています。
(執筆:2019/7/15)

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1995年12月11日月曜日

奇妙な惑星状星雲 NGC5189


太陽程度の質量を持つ恒星の進化が進み、星内部での核融合が停止すると、星の中心部分が凝縮して白色矮星と呼ばれる小さな星が出来上がります。その一方で、星の大気の外側の層は宇宙空間に放出され、惑星状星雲と呼ばれる星雲を形成します。この惑星状星雲には、非常に奇妙で無秩序な構造をしめすものが多く存在します。上の写真のNGC5189もその一つです。NGC5189の中には、膨張するガスの輪が存在すると考えられていますが、惑星状星雲がそのような形態でガスを放出するメカニズムは未だに正確には理解されていません。
(執筆:2019/7/14)

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1995年12月10日日曜日

アポロ14号によるALSEPの設置


アポロ14号の月着陸船が月面に着陸した後、アラン・シェパードとエドガー・ミッチェル両宇宙飛行士は、月面探査用の機材(ALSEP)を設置し、付き表面の物質のサンプルを採取しました。ALSEPには、わずかな月面の動きにも敏感に反応する地震計や、太陽風を測定する荷電粒子検出器が含まれていました。地震計は月に衝突する月の揺れや流星と解釈される地表の揺れの測定に成功し、太陽風の測定実験ではアルゴンを検出しました。ALSEPを用いた実験・観測は、我々人類の月の内部構造と磁場についての理解を深めました。この写真は、シェパード宇宙飛行士が月面ににハンマーで計測用のチューブを打ち込んでいるところです。
(執筆:2019/7/14)

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1995年12月9日土曜日

月面に降り立ったアポロ14号


1971年2月、アポロ14号の月着陸船は月面に降り立ちました。ステュアート・ルーサ宇宙飛行士が軌道上の指揮モジュールを操縦している間に、アラン・シェパードとエドガー・ミッチェル両宇宙飛行士が月面を歩きました。失敗に終わったアポロ13号のミッションからわずか数ヵ月後に打ち上げられたアポロ14号は、長時間の月面歩行、クレーターからの岩石サンプルの採取、月面実験装置の設置とう多くの成果を残しました。
(執筆:2019/7/13)

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1995年12月8日金曜日

木星への降下


1995年12月7日の米国東部標準時5:00PM頃、ガリレオ衛星に搭載された降下探査機が木星の大気圏に突入しました。上の写真は、イラストレーターによって再現された探査機の降下中の様子です。炎に包まれながら落下する降下探査機、降下速度を緩めるための直径8フィートのパラシュート、探査機を放出した後のオービター等が描かれています。降下中、探査機は雷に遭遇したと考えられており、その様子もイラストの中に見て取れます。最終的に、この探査機は役目を終えた後、木星大気の熱によって蒸発したと考えられています。
(執筆:2019/7/13)

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1995年12月7日木曜日

ガリレオ衛星から木星に投下された探査機


(注意:この記事は1995年12月7日にNASAからリリースされたものです)。
本日、アメリカ東部時間の午前5時頃、NASAの探査衛星ガリレオから切り離された探査機が人類史上初めて木星大気に突入します。突入する探査機は、今年の7月に木星の周りを周回しているオービターから切り離され4ヶ月ほどかけて徐々に木星へと近づいてきました。探査機は木星大気に突入するに際して、本の数分の間に、時速約16万キロメートルから時速約1600キロメートルまで減速します。この時に探査機に加わる重力は、地球表面の重力の実に230倍にも達します。木星の大気圏突入に成功すれば、その後探査機はパラシュートを広げ、ゆっくりと降下しながら木星の大気の組成を調べる予定となっています。この写真は打ち上げ前に地上で撮影された探査機(上側)とエアロシェルと呼ばれる大気突入用のモジュール(下側)です。実際には探査機とエアロシェルは接合された状態で木星大気に突入していきます。エアロシェルは木星大気突入時に探査機を振動と熱から守ります。大気圏突入開始時のエアロシェルの温度は、太陽表面の温度の約2倍にも達すると考えられています。
(執筆:2017/12/7)

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1995年12月6日水曜日

木星まであと24時間


NASAが開発したガリレオ探査衛星は約6年前に木星に向けての長い旅に出発しました(注:この写真がAPODでリリースされたのは1995年12月です)。そして、これからおよし24時間で目的地に到着します。1995年12月7日に予定通り木星に到着すると、ガリレオ衛星は木星の周回軌道に入り、軌道上から探査機を木星に投下するという、人類史上初めての探査に取り組むことになります。ハッブル宇宙望遠鏡で撮影されたこの木星の写真には、ガリレオ衛星から探査機が投下される予定の場所が矢印で示されています。探査が成功すれば、投下された探査機から、木星大気の温度や化学組成などの情報が送られてきます。周回軌道を回る衛星は、探査機の投入の後も、およそ2年間木星の周りを回りながら観測を継続する予定となっています。ガリレオ衛星がもたらすであろう観測データによって、我々人類が持つ木星の知識が深まるだけでなく、太陽系の起源を探る上での重要なヒントも得られると考えられています。
(執筆:2017/12/7)

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1995年12月5日火曜日

楕円銀河の中心部分にある謎の渦巻き


ハッブル宇宙望遠鏡によって撮影された近傍の楕円銀河 NGC4261の写真には大変興味深い構造が映し出されています。この銀河の中心にはブラックホールがあると考えられていますが、この写真では、一見して銀河中心近くに漂うガスや塵が、渦を巻きながら銀河の中心部(ブラックホール)に吸い込まれているように見えます。しかし、実際は少し状況が違うようです。この渦巻状に見える構造、実は天文学者は、数億年前に楕円銀河に落ち込んだ小さな渦巻銀河の残骸だろうと考えています。このような銀河どうしの衝突や合体は、宇宙では頻繁に発生しており、活動銀河核のような活発な変動を見せる天体の成因と考えらています。NGC4261に埋没した渦巻銀河の位置は、楕円銀河の中心からずれています。このような位置関係が、上記のようなストーリーが背景にあることを推測するヒントを天文学者に与えたのでしょう。
(執筆:2017/12/7)

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1995年12月4日月曜日

褐色矮星の候補 GL229B


宇宙にはどのような種類の物質が一番多く存在するのでしょうか? この問は現代天文学を考える上で最も重要なものの一つで「暗黒物質の問題」と呼ばれています。その暗黒物質の候補の一つが「褐色矮星」と呼ばれる小さな星です。褐色矮星は、他のどのような種類の星の数よりも多く存在すると考えられていますが、非常に暗いために実際に検出することは容易ではありません。暗黒物質の問題を考える上で大変大きな意味を持つ写真が1994年に撮影されました。この写真には、非常に明るい星の傍らに、小さな暗い星が写っているのわかります(写真中央からやや右)。この星は、おそらく褐色矮星であろうと考えられています。現在、この星がどのような組成でできているのかが議論となっています。
(執筆:2017/12/6)

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1995年12月3日日曜日

M81で起こった超新星爆発が放つX線


M81と呼ばれる銀河の中で1993年に星が爆発しました。この爆発は、重い星がその一生の最後に起こす「超新星爆発」と呼ばれる種類の爆発です。このX線写真はASCAという装置によって撮影されたもので、超新星爆発によって撒き散らされた高温の物質が写っています(注:ASCAは、Advanced Satellite for Cosmology and Astrophysicsの略)。M81は比較的近傍の銀河なので、爆発跡の様子を観測的に詳しく調べることができます。ASCAによるX線観測も爆発後に行われた詳細な観測的研究の一つです。X線は地球の大気で吸収されてしまうので地上から観測することはできません。したがって、この写真も宇宙空間から撮影されたものです。爆発跡から放射されるX線を詳しく解析することで、撒き散らされた物質の組成や温度を調べることができます。
(執筆:2017/12/6)

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1995年12月2日土曜日

スペースシャトルの下に見える稲光


1993年5月、スペースシャトル・コロンビア号はスペースラブのドイツ科学モジュール2号(SL-D2)とその接続用トンネルを携えて、軌道上を周回していました。この写真はその時の様子を捉えたものです。スペースシャトルの下には嵐で大荒れの地球が見えています。雨雲の中に数カ所の稲光が写っています。写真中央、スペースシャトルの尾翼の上あたりにも明るく稲光が写っていますがこの辺りはちょうどメキシコ・シティの上空にあたります。
(執筆:2017/12/5)

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1995年12月1日金曜日

ペガサス座51番星に見つかった系外惑星


私達人類は広大な宇宙の中で孤独な存在なのでしょうか?1995年の10月、人類はその問いに対する答えに一歩近づきました。二人の天文学者(マイケル・メイヤーとディディエ・ケロー)が、ペガサス座51番星に少なくとも1つの惑星が存在することを発見したのです。この写真中央に明るく写っているのがペガサス座51番星です。ただし、発見された惑星をこの写真で確認することはできません。惑星は、その重力による51番星の僅かな動きを検知することで存在が証明されました。これまで、太陽系以外で惑星が発見された例は少なく(注:2017年においては、数百個の系外惑星が確認されています)、惑星が見つかった場合でも、その惑星が中性子星であるなど、太陽系の状況とはかけ離れたものでした。しかし、このペガサス座51番星に発見された惑星の場合、51番星が太陽と似た星であるため、これまでとは異る意味合いを持ちます。51番星に発見された惑星は、恒星に近い軌道を公転する木星に似たタイプの惑星だと考えられており、その公転周期は4日ほどです。(写真の中に見える十字線は、観測装置によって人工的に作り出された光学パターンであって、実際の星の形を表すものではありません。)
(執筆:2017/12/3)

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1995年11月30日木曜日

惑星状星雲の中心に横たわる超高温の星


この写真の中央に写っている星は、表面温度の最も高い星の一つとして知られています。この星は白色矮星と呼ばれる種類の星で、その表面温度は摂氏20万度以上にもおよびます。この温度は、太陽の表面温度の実に30倍以上にもなる高温です。このような超高温によってこの星は大変な明るさで輝いており、その明るさは太陽の250倍以上にも達します。この星は、NGC2440という惑星状星雲の中心に位置しています。この写真はハッブル宇宙望遠鏡によって撮影され、シャープな像を得るための特別の加工が施されています。
(執筆:2017/12/3)

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1995年11月29日水曜日

コンプトン衛星の軌道への投入


ノーベル賞物理学者のアーサー・コンプトン博士の名前を冠した「コンプトンγ線観測衛星(GCRO)」は、1991年4月にスペースシャトル・アトランティス号によって軌道に投入されました。コンプトン衛星の目的は、宇宙から飛来するγ線を探索することでした。この写真には、宇宙遊泳中に笑顔を浮かべるジェリー・ロス宇宙飛行士と、宇宙空間に浮かぶ巨大なコンプトン衛星が写っています。コンプトン衛星の軌道への投入作業では、本来宇宙遊泳を伴う作業は予定されていませんでしたが、衛星の通信用アンテナにトラブルが発生し、その修復のためにロス宇宙飛行士ならびにジェイ・アプト宇宙飛行士が宇宙遊泳を行いました。その後、コンプトン衛星の観測は順調に進み、γ線波長域における初めての掃天観測によって、太陽、クエーサー、パルサー、超新星、ブラックホール、γ線バースト天体などについて多くの新発見がもたらされました。
(執筆:2017/12/2)

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1995年11月28日火曜日

月の南極に見える黒い影


1994年に、フランスの月探査衛星「クレマンティン」は、70日間をかけて月の表面を詳細に観測し月表面の地図を作成しました。上の写真に写っているのは、クレマンティンが撮影した月表面の写真 1500枚をつなぎ合わせて作成した月の南極側の様子です(画像の中心が月の南極です)。この写真に写っている月の上側半分が通常地球から見える月で、下側半分は地球からは見えない部分です(月は常に同じ面を地球に向けて地球の周りを公転しています)。月の南極近辺(画像中央)に大きな凹みがあることが画像からわかります。これは彗星もしくは小惑星が衝突した跡だろうと推測されています。衝突痕と推測される場所には黒く影になった領域が見えます。この影の部分の温度は非常に低く、衝突したかもしれない彗星の氷の破片などが溶けずに残っているのではないかと天文学者は期待しています。
(執筆:2017/12/2)

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1995年11月27日月曜日

ブラックホール越しに見た星空


ブラックホール越しに景色を眺めるとどのように見えるのでしょうか?今日はその疑問に答えてくれる画像を紹介します。上の2枚の画像は、重力の理論に基づいてコンピュータで作成されたシミュレーション画像です。左側の画像はオリオン座近辺の星空の様子を示しています。画像の中央からやや右寄りに、オリオンの三つ星が並んでいるの分かると思います。右側の画像も同じ星空を表していますが、違うのは星空の手前にブラックホールが配置されていることです。ブラックホールの周りではその強い重力の影響で光の軌道が歪められます。このことから、背景となる星空も左の画像に比べて大きく歪んでいます。右の画像には奇妙な点がいくつも見られます。まず、左の画像に見えていた星の多くが、右の画像では2つの星に分裂しています。分裂した星はブラックホールを挟んで両側に見えています。これはブラックホールの強い重力によって星の光が二手に別れてしまうために起こる現象です。また、この画像では分かりにくいですが、理論的にはブラックホールの直近では、実は全天のすべての星が見えています。あらゆる方向からきた光がブラックホールの重力に絡め取られ、ブラックホールの周りを光が軌道運動することからこのような現象が起こります。ブラックホールは物質の密度が高くなった極限の状態であると考えられています。現時点ではまだブラックホールの直接の検出は行われていませんが、連星系、球状星団の中心領域、銀河の中心領域などからブラックホールの存在を示唆する間接的な証拠が多数見つかっています。
(執筆:2017/11/30)

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1995年11月26日日曜日

光子球からみた景色


この画像は、非常にコンパクトな重い天体の近傍から星空を見上げるとどのように見えるかを理論計算に基づいて再現したものです。ここで仮定されているコンパクトな天体は、ブラックホールになるかどうかのギリギリの大きさと質量を持ちます(このような天体は実際には知られていないので、この画像はあくまで理論上の計算結果です)。この理論計算では、観測者は重力の影響で光(光子)が軌道運動して形成される球(光子球)にいるものと仮定されています。重力の影響でどのように景色が歪められるかをわかりやすく見るために、天体の表面には地球の地図、夜空には地球から見える星空が描かれています。画像をよく見ると、球体の一部から空を見ているはずなのに、球体(地球)の表面全体が見えていること、星空も通常見える範囲を超えて、ほぼ全天が一度に見えていることなど、強い重力によって奇妙な現象が起きていることがわかります。
(執筆:2017/11/30)

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1995年11月25日土曜日

最もクリーンな土星の衛星 エンケラドゥス


エンケラドゥスは土星の第2衛星で、ミマスとテティスの間の軌道を公転しています。エンケラドゥスを構成する成分は主に固体の水(氷)で、その表面は太陽系の惑星・衛星の中で、もっとも純度の高い氷で覆われていると考えられています。エンケラドゥスの表面は氷ですっぽり覆われているため、可視光域の観察では白っぽく見えます。また表面には、クレーターは比較的少なく、特徴的な起伏が見られます(エンケラドゥスの表面の状況は、木星の衛星であるガニメデの表面と似ていると言われています)。このような特徴から、エンケラドゥスの表面は比較的最近、火山活動によって再形成されたのだろうと推測されています。エンケラドゥスは、1789年にウィリアム・ハーシェルによって発見されました。
(執筆:2017/11/30)

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1995年11月24日金曜日

土星の第3衛星 テティス


テティスは土星の衛星の中でも比較的大きく土星に近い軌道を周っています。テティスは、ボイジャー衛星1号と2号の両方で直接探査が行われました(ボイジャー1号による探査は1980年に、ボイジャー2号による探査は1981年に行われました)。テティスを構成する成分はほとんどが氷(固体の水)であることが知られています。テティスには直径がテティス自身の直径にも匹敵するような非常に大きなクレーターがあることが知られています(注:この写真には写っていないようです)。このような大きなクレーターが存在するにも関わらずテティスが今の状態で存在していることから、クレーターができた当時にはまだ完全にテティスは固まっておらず温度の高い柔らかな状態であったのだろうと考えられています。テティスの周りには、テレストとカリプソという2つの衛星が存在し、2つはほぼ同じ軌道を周回しています。テティスは1684年にジョヴァンニ・カッシーニによって発見されました。
(執筆:2017/11/29)

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1995年11月23日木曜日

カニ星雲の偏光


カニ星雲(M1)は、比較的重い星がその生涯の最後に迎える大爆発(超新星爆発)の後に残る残骸(超新星残骸)です。カニ星雲が形成される原因となった超新星爆発が起こったのは900年も前の話ですが、現在でもなおカニ星雲は膨張し続け、なおかつ輝き続けています。カニ星雲から放射される光は大部分が「偏光」していることが知られています。光は、電場と磁場が相互に入れ替わりながら伝播していく波(電磁波)ですが、偏光が同じ光は、同じ面で振動しています。釣りやスキーをする人は、水面や雪面を見やすくするために偏光グラスを用いますが、偏光グラスは一定の方向の振動(偏光)のみ通過することができるガラスを使用しています。光は物質の表面で反射すると偏光します。また、非常に強い磁場によっても偏光は起こります。この写真のカラーは、異なる偏光の方向を表しています。天文学者は偏光イメージを詳しく解析することで、どのような物理過程によって光が放射されているのかを調べています。
(執筆:2017/11/28)

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1995年11月22日水曜日

爆発するかに星雲 M1


かに星雲(M1)は、重い星がその生涯の最後に迎える大爆発(超新星爆発)の後に残る残骸(超新星残骸)です。超新星爆発が起こると、星の外層は爆発によって激しく吹き飛ばされ、中心部分は崩壊して中性子星となります。超新星残骸の中に残る中性子星は、高速で自転しており、この自転の影響で中性子星から出る光は短い周期で点滅しています。点滅の周期は1秒間に30回にも及びます(これはつまり、中性子星が1秒間に30回転しているということです)。カニ星雲が形成される原因となった超新星爆発が起こったのは900年も前の話ですが、今でもなおカニ星雲は膨張し続け、なおかつ輝き続けています。カニ星雲がどうして輝き続けられるのか、そのメカニズムは長い間の謎でしたが、現在では中性子星の自転速度が徐々に遅くなっていることが発見されたことから、中性子星が回転する運動のエネルギーがなんらかのメカニズムで星雲の輝くエネルギーに変換されていると考えられています。
(執筆:2017/11/28)

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1995年11月21日火曜日

オリオン大星雲 M42 のモザイク画像


オリオン大星雲(M42)は、私達が知っている天体の中でも、おそらく最も興味深いものの一つでしょう。この画像は、ハッブル宇宙望遠鏡(HST)が撮影した15枚の画像を一つにつなぎ合わせたモザイク画像で、オリオン大星雲の規模の大きさと星雲が内包する物理的な多様性を示しています。オリオン大星雲の中には「トラペジウム」と呼ばれる明るい星団が埋没していることはよく知られていますが、実は星雲の中にはトラペジウム以外にも多くの生まれたばかりの星や生まれつつある星が存在しています。星雲内で星が生まれつつある領域には、濃い水素ガスや恒星ジェットなどが見られます。この写真の細部をよく見ると、あちこちにフィラメント状の構造が見られますが、これらは衝撃波によって作られます。衝撃波は、遅く移動するガスに速く移動するガスがぶつかって形成されます。画像の左下に見えるオレンジ色がかった大きな衝撃波が一番わかりやすいでしょう。オリオン大星雲は、私達の太陽が属する渦状腕と同じ渦状腕に属しており、我々の太陽系からの距離は約1500光年です。
(執筆:2017/11/28)

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1995年11月20日月曜日

球状星団 M15の中心部分


ハッブル宇宙望遠鏡(HST)によって1994年4月に撮影されたこの画像には、球状星団M15の中心部に密集する星々が写し出されています。ここに写っている星々は、おおよそ1.6光年程度の範囲の中に分布しています。星々はそれぞれ異なる色を示していますが、星の色はその温度と対応しており、青い星は温度の高い星、赤い星は温度の低い星です。M15は、銀河系の中で最も星の分布密度が高い球状星団として知られています。ハッブル宇宙望遠鏡は、非常に高い角度分解能を誇りますが、M15の星々の密集度が高いため、その分解能をもってしてもM15の星々を完全に分離して見ることは不可能です。しかし、ハッブル宇宙望遠鏡による観測では、M15の星の分布密度が、中心部に近づくにしたがって高くなっていることが明らかとなりました。このことはM15の中心部分に非常に巨大な密度を持つ天体(例えばブラックホール)が存在することを示唆しています。
(執筆:2017/11/20)

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1995年11月19日日曜日

宇宙から見たニューヨークの夜景


ニューヨークの夜景が写っているこの美しい写真は、1990年3月にスペースシャトル・エンデバー号から撮影されたものです。この写真では東が上、北が左に写っています。ニューヨークに馴染みのある方であれば、光の濃淡から写真に写っているのがニューヨークであることがすぐ分かるのではないかと思います。ハドソン川とイースト川に囲まれたマンハッタンや、マンハッタンの中に黒く浮かび上がるセントラルパークなどがハッキリと認識できます。
(執筆:2017/11/15)

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1995年11月18日土曜日

水の世界


水分子(H2O)は、地球上の生命の根源となっている大変重要な物質です。地球は、太陽系の中で唯一、水分子が「液体、個体、気体」の3つの状態で同時に存在s得る惑星です。スペースシャトルから撮影されたこの写真は、アラスカの湾岸部(ベーリング海の北部)を写したものですが、写真の中に写っている被写体は、全てが液体、個体、気体いずれかの状態の水です。地球上にいかに水が多いかが分かる写真です。
(執筆:2017/11/15)

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1995年11月17日金曜日

日はまた昇る


軌道上を周回するスペースシャトルの窓から見える日の出は、ヘミングウエイの小説「日はまた昇る」を想起させるような実に素晴らしいものです。この息を呑むような美しい写真は、対流圏の上部境界を漂う雲の向こう側に見える日の出時の太陽を捉えたものです。日の出時の太陽が放つ光は、塵を多く含む大気を通り抜けて来るので、青い光が途中で遮断され、人間の目には赤っぽい色として認識されます。写真の中に見えている赤い帯はこのような理由で色づいているのです。一方で、赤い帯の上に見える青い帯は地球大気の上層部に位置する成層圏に対応しています。成層圏では青い光が散乱されるために青く色づいて見えるのです。
(執筆:2017/11/14)

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1995年11月16日木曜日

ハッブル宇宙望遠鏡の修理


ハッブル宇宙望遠鏡(HST)の修理を行うために行われたスペースシャトルミッション(STS-61)は、それまでに行われたスペースシャトルミッションの中で最も難しいものの一つでした。この修理ミッションは、1993年12月2日に打ち上げられたスペースシャトル・エンデバー号によって行われ、宇宙飛行士はHSTの修理のために合計5回の宇宙遊泳を行いました。ミッションに参加したストーリー・マスグレイブ宇宙飛行士はHSTの修理のために8時間にも迫ろうという長時間の宇宙遊泳を行いました。この時の宇宙遊泳時間はNASA史上2番めの記録です。この写真はマスグレイブ宇宙飛行士が修理を行っているところです。修理ミッションは大成功のもとに終了し、宇宙飛行士の宇宙空間での作業能力の高さを示すとともに、HSTの寿命を大きく引き伸ばすことに成功しました。
(執筆:2017/11/14)

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1995年11月15日水曜日

ステファンの五つ子


キットピーク国立天文台(アメリカ)の2.1メートル望遠鏡で撮影されたこの写真には、狭い領域に密集した5つの銀河が見えています。この5つの銀河は「ステファンの五つ子」という名前で知られています。5つの銀河のうち4つは同じ距離にあることが赤方偏移の測定から知られています。左下に見えている青い渦巻銀河だけは他の銀河に比べて距離が近いと考えられています(他の銀河に比べてこの銀河だけ小さな赤方偏移を示します)。等距離にあると考えられている4つの銀河のうち3つは、互いの重力で影響を及ぼし合い、それぞれの形が潮汐力によって変形しています。一方で左下にある楕円銀河は、等距離にある他の3つの銀河からの影響は受けずに普通の楕円銀河として存在しています。近傍の他の銀河から潮汐作用や衝突によって影響を受けるかどうかは、銀河の進化を大きく左右します。
(執筆:2017/11/14)

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1995年11月14日火曜日

オリオン座とオーロラ


この写真は、1994年の4月にスペースシャトル・エンデバー号の乗組員が撮影した、地球軌道の南側で発生したオーロラです。オーロラは、地球の磁場の影響で、太陽風に含まれる高エネルギの電子が地球の大気と衝突することによって生じる現象です。赤いオーロラは、大気の薄い高度約320キロメートルの高空で起こります。もう少し高度が低くなるとオーロラの色は緑がかったものとなり、さらに高度が低くなるとピンク色に発光することもあります。この写真では、オーロラの背景にオリオン座が写っています。写真に写っているオリオン座の星々がやや伸びた形をしているのはスペースシャトルの軌道運動の影響です。
(執筆:2017/11/13)

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1995年11月13日月曜日

乙女座銀河団


この写真に写っているのは、我々の銀河系に最も近い銀河団である「乙女座銀河団」に属する幾つかの銀河です。おとめ座銀河団のサイズはかなり大きく、角度にして約5度もあります。これは実に満月の直径の10倍の大きさに匹敵します。おとめ座銀河団には、渦巻銀河、楕円銀河、不規則銀河など、100個を超える様々な種類の銀河が含まれています。この写真に写っている特に明るい2つの銀河はM84とM86です。写真の中央やや上に写っているのがM84で、これは楕円銀河と呼ばれる種類の銀河です。M84の右側に写っている明るい銀河がM86で、これも楕円銀河です。
(執筆:2017/11/10)

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1995年11月12日日曜日

ブルージェット


レッドスプライトの回でも触れましたが、最近「レッドスプライト」と「ブルージェット」と呼ばれる2種類の新しいタイプの雷が発見されました。この2つの雷は、普通の雷が発生する高度に比べて遥かに高い大気の高層で発生します。ブルージェットは、稲光の色が青いのでこの名前で呼ばれており、だいたい高度50キロメートルぐらいのところで発生します。ブルージェットの継続時間は約1秒ほどあるので、高速度撮影のできるビデオカメラを用いると比較的容易に現象を記録することができます。ブルージェットの稲光は細いコーン状の形状を示し、秒速約100キロメートルで大気中を移動します。レッドスプライト同様、ブルージェットの存在は早くから示唆されていましたが、実際に記録として残されたのは高速度カメラが登場して以降のことでした。この白黒写真は、1994年に、雷雲から上方に向かって走るブルージェットの稲光を捉えたものです。レッドスプライト同様、ブルージェットの発生メカニズムはまだ明らかになっていません。
(執筆:2017/11/9)

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