オリオン大星雲(M42)は、私達が知っている天体の中でも、おそらく最も興味深いものの一つでしょう。この画像は、ハッブル宇宙望遠鏡(HST)が撮影した15枚の画像を一つにつなぎ合わせたモザイク画像で、オリオン大星雲の規模の大きさと星雲が内包する物理的な多様性を示しています。オリオン大星雲の中には「トラペジウム」と呼ばれる明るい星団が埋没していることはよく知られていますが、実は星雲の中にはトラペジウム以外にも多くの生まれたばかりの星や生まれつつある星が存在しています。星雲内で星が生まれつつある領域には、濃い水素ガスや恒星ジェットなどが見られます。この写真の細部をよく見ると、あちこちにフィラメント状の構造が見られますが、これらは衝撃波によって作られます。衝撃波は、遅く移動するガスに速く移動するガスがぶつかって形成されます。画像の左下に見えるオレンジ色がかった大きな衝撃波が一番わかりやすいでしょう。オリオン大星雲は、私達の太陽が属する渦状腕と同じ渦状腕に属しており、我々の太陽系からの距離は約1500光年です。
(執筆:2017/11/28)