ノーベル賞物理学者のアーサー・コンプトン博士の名前を冠した「コンプトンγ線観測衛星(GCRO)」は、1991年4月にスペースシャトル・アトランティス号によって軌道に投入されました。コンプトン衛星の目的は、宇宙から飛来するγ線を探索することでした。この写真には、宇宙遊泳中に笑顔を浮かべるジェリー・ロス宇宙飛行士と、宇宙空間に浮かぶ巨大なコンプトン衛星が写っています。コンプトン衛星の軌道への投入作業では、本来宇宙遊泳を伴う作業は予定されていませんでしたが、衛星の通信用アンテナにトラブルが発生し、その修復のためにロス宇宙飛行士ならびにジェイ・アプト宇宙飛行士が宇宙遊泳を行いました。その後、コンプトン衛星の観測は順調に進み、γ線波長域における初めての掃天観測によって、太陽、クエーサー、パルサー、超新星、ブラックホール、γ線バースト天体などについて多くの新発見がもたらされました。
(執筆:2017/12/2)