かに星雲(M1)は、重い星がその生涯の最後に迎える大爆発(超新星爆発)の後に残る残骸(超新星残骸)です。超新星爆発が起こると、星の外層は爆発によって激しく吹き飛ばされ、中心部分は崩壊して中性子星となります。超新星残骸の中に残る中性子星は、高速で自転しており、この自転の影響で中性子星から出る光は短い周期で点滅しています。点滅の周期は1秒間に30回にも及びます(これはつまり、中性子星が1秒間に30回転しているということです)。カニ星雲が形成される原因となった超新星爆発が起こったのは900年も前の話ですが、今でもなおカニ星雲は膨張し続け、なおかつ輝き続けています。カニ星雲がどうして輝き続けられるのか、そのメカニズムは長い間の謎でしたが、現在では中性子星の自転速度が徐々に遅くなっていることが発見されたことから、中性子星が回転する運動のエネルギーがなんらかのメカニズムで星雲の輝くエネルギーに変換されていると考えられています。
(執筆:2017/11/28)