ラベル 可視光 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示
ラベル 可視光 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示

1995年12月12日火曜日

環状惑星状星雲 Shapley 1


上の写真のような面白い形をした星雲は、太陽程度の質量を持った恒星の進化が進み、恒星内部での核融合が終了した後に現れます。恒星内部の核融合が終了すると、星の中心には白色矮星と呼ばれる密度の高い小さな天体が形成されます。その一方で、外側の大気層は宇宙空間に放出され、上の写真のような星雲となります。このような太陽程度の質量の星の進化の最末期に形成される星雲は、惑星状星雲と呼ばれています。上の写真の惑星状星雲は、有名な天文学者であるHarlow ShapleyにちなんでShapley1と呼ばれています。Shapley1は綺麗な環状構造を示す惑星状星雲ですが、一般的には環状以外にも様々な形状の惑星状星雲が知られています。
(執筆:2019/7/15)

関連記事

1995年12月11日月曜日

奇妙な惑星状星雲 NGC5189


太陽程度の質量を持つ恒星の進化が進み、星内部での核融合が停止すると、星の中心部分が凝縮して白色矮星と呼ばれる小さな星が出来上がります。その一方で、星の大気の外側の層は宇宙空間に放出され、惑星状星雲と呼ばれる星雲を形成します。この惑星状星雲には、非常に奇妙で無秩序な構造をしめすものが多く存在します。上の写真のNGC5189もその一つです。NGC5189の中には、膨張するガスの輪が存在すると考えられていますが、惑星状星雲がそのような形態でガスを放出するメカニズムは未だに正確には理解されていません。
(執筆:2019/7/14)

関連記事

1995年11月22日水曜日

爆発するかに星雲 M1


かに星雲(M1)は、重い星がその生涯の最後に迎える大爆発(超新星爆発)の後に残る残骸(超新星残骸)です。超新星爆発が起こると、星の外層は爆発によって激しく吹き飛ばされ、中心部分は崩壊して中性子星となります。超新星残骸の中に残る中性子星は、高速で自転しており、この自転の影響で中性子星から出る光は短い周期で点滅しています。点滅の周期は1秒間に30回にも及びます(これはつまり、中性子星が1秒間に30回転しているということです)。カニ星雲が形成される原因となった超新星爆発が起こったのは900年も前の話ですが、今でもなおカニ星雲は膨張し続け、なおかつ輝き続けています。カニ星雲がどうして輝き続けられるのか、そのメカニズムは長い間の謎でしたが、現在では中性子星の自転速度が徐々に遅くなっていることが発見されたことから、中性子星が回転する運動のエネルギーがなんらかのメカニズムで星雲の輝くエネルギーに変換されていると考えられています。
(執筆:2017/11/28)

関連記事

1995年11月21日火曜日

オリオン大星雲 M42 のモザイク画像


オリオン大星雲(M42)は、私達が知っている天体の中でも、おそらく最も興味深いものの一つでしょう。この画像は、ハッブル宇宙望遠鏡(HST)が撮影した15枚の画像を一つにつなぎ合わせたモザイク画像で、オリオン大星雲の規模の大きさと星雲が内包する物理的な多様性を示しています。オリオン大星雲の中には「トラペジウム」と呼ばれる明るい星団が埋没していることはよく知られていますが、実は星雲の中にはトラペジウム以外にも多くの生まれたばかりの星や生まれつつある星が存在しています。星雲内で星が生まれつつある領域には、濃い水素ガスや恒星ジェットなどが見られます。この写真の細部をよく見ると、あちこちにフィラメント状の構造が見られますが、これらは衝撃波によって作られます。衝撃波は、遅く移動するガスに速く移動するガスがぶつかって形成されます。画像の左下に見えるオレンジ色がかった大きな衝撃波が一番わかりやすいでしょう。オリオン大星雲は、私達の太陽が属する渦状腕と同じ渦状腕に属しており、我々の太陽系からの距離は約1500光年です。
(執筆:2017/11/28)

関連記事

1995年11月20日月曜日

球状星団 M15の中心部分


ハッブル宇宙望遠鏡(HST)によって1994年4月に撮影されたこの画像には、球状星団M15の中心部に密集する星々が写し出されています。ここに写っている星々は、おおよそ1.6光年程度の範囲の中に分布しています。星々はそれぞれ異なる色を示していますが、星の色はその温度と対応しており、青い星は温度の高い星、赤い星は温度の低い星です。M15は、銀河系の中で最も星の分布密度が高い球状星団として知られています。ハッブル宇宙望遠鏡は、非常に高い角度分解能を誇りますが、M15の星々の密集度が高いため、その分解能をもってしてもM15の星々を完全に分離して見ることは不可能です。しかし、ハッブル宇宙望遠鏡による観測では、M15の星の分布密度が、中心部に近づくにしたがって高くなっていることが明らかとなりました。このことはM15の中心部分に非常に巨大な密度を持つ天体(例えばブラックホール)が存在することを示唆しています。
(執筆:2017/11/20)

関連記事

1995年11月15日水曜日

ステファンの五つ子


キットピーク国立天文台(アメリカ)の2.1メートル望遠鏡で撮影されたこの写真には、狭い領域に密集した5つの銀河が見えています。この5つの銀河は「ステファンの五つ子」という名前で知られています。5つの銀河のうち4つは同じ距離にあることが赤方偏移の測定から知られています。左下に見えている青い渦巻銀河だけは他の銀河に比べて距離が近いと考えられています(他の銀河に比べてこの銀河だけ小さな赤方偏移を示します)。等距離にあると考えられている4つの銀河のうち3つは、互いの重力で影響を及ぼし合い、それぞれの形が潮汐力によって変形しています。一方で左下にある楕円銀河は、等距離にある他の3つの銀河からの影響は受けずに普通の楕円銀河として存在しています。近傍の他の銀河から潮汐作用や衝突によって影響を受けるかどうかは、銀河の進化を大きく左右します。
(執筆:2017/11/14)

関連記事

1995年11月13日月曜日

乙女座銀河団


この写真に写っているのは、我々の銀河系に最も近い銀河団である「乙女座銀河団」に属する幾つかの銀河です。おとめ座銀河団のサイズはかなり大きく、角度にして約5度もあります。これは実に満月の直径の10倍の大きさに匹敵します。おとめ座銀河団には、渦巻銀河、楕円銀河、不規則銀河など、100個を超える様々な種類の銀河が含まれています。この写真に写っている特に明るい2つの銀河はM84とM86です。写真の中央やや上に写っているのがM84で、これは楕円銀河と呼ばれる種類の銀河です。M84の右側に写っている明るい銀河がM86で、これも楕円銀河です。
(執筆:2017/11/10)

関連記事

 ソンブレロ銀河 M104
強烈なγ線を放つクエーサー
クエーサーと銀河の衝突?

トップページ

1995年11月9日木曜日

ソンブレロ銀河 M104


ソンブレロ銀河として知られるM104は我々天の川銀河の比較的近傍にある渦巻銀河です。明るい銀河の中央に見える特徴的な黒い帯と周辺に散在する球状星団がその名前の由来となっています(ソンブレロはメキシコで広く使用されている「帽子」の名前です)。ソンブレロ銀河の中心部分からはX線が検出されることから、中心部分で何らかの高エネルギー現象が起こっていると考えられています。検出されたX線の性質を詳しく調べると、中心領域に存在する星が大変な高速度で運動していることがわかります。このことから、天文学者はソンブレロ銀河の中心部分に巨大なブラックホールが存在すると考えています。この写真は、キットピーク国立天文台の0.9メートル望遠鏡で撮影されたソンブレロ銀河の可視光(青い光)の画像です。
(執筆:2017/11/3)

関連記事

1995年11月7日火曜日

イーグル星雲で暖められているタマゴ


イーグル星雲(M16)の中に横たわるガス塊の突端に「EGG」と呼ばれる種類の星形成領域があることが知られています。EGGは「Evaporating Gaseous Globules」という英語を表す略語で、濃い分子水素ガスがこれから星になろうとしている領域です。イーグル星雲のEGGの中では既に赤ちゃん星が幾つか誕生しており、それら生まれたばかりの赤ちゃん星からでる光で、周りのガスが照らし出されています。この写真は、ハッブル宇宙望遠鏡に搭載された広視野カメラで撮影されたものです。
(執筆:2017/11/1)

関連記事

1995年11月6日月曜日

尖塔の上に輝く星々


夜空に輝く星星はどのように生まれるのでしょうか。ハッブル宇宙望遠鏡によって鷲星雲M16の一部を捉えたこの美しい写真は、我々に星の誕生の瞬間を理解するためのヒントを与えてくれています。写真の中で黒い塔の様に見えている場所には、分子水素と塵からなる濃い星間ガスが漂っています。塔の太さは差し渡し数光年ほどです。塔に含まれるガスは自己重力で収縮し、その中から星が生まれつつあります。塔の先端には生まれたばかりの星が明るく輝き、星の誕生の現場を明るく照らし出しています。

関連記事

1995年11月1日水曜日

散開星団と星間ダスト


この写真に写っているのは、M16という名前の天体です。M16は若い星からなる散開星団と、輝線を放つ発光星雲、さらに光を吸収する星間ダストから構成される天体です。M16の星は、写真中央よりも右上の場所に主に分布しています。散開星団は、通常は数百個程度の若い星から構成される星団です。星団の周囲に見られる発光星雲は、電子が水素原子の原子核と再結合するときに放射される光(輝線)によって輝いています。一方、黒く見える領域は、星間ダストが背景の光を吸収することによって形成されています。星間ダストによる吸収度合いを詳しく調べることによって、どの星が星間ダストの中に埋もれた星で、どの星が前景にある星かを知ることができます。この写真はアングロオーストラリアン望遠鏡によって撮影されました。

関連記事

1995年10月31日火曜日

伝説のハロウィーンとなった火星人侵略事件


オーソン・ウェルズは、1938年のハロウィーンに、H.G.ウェルズの「宇宙戦争」をラジオドラマで演じたことで一躍有名になりました。 「宇宙戦争」は、火星人が地球に攻めてくるストーリーですが、ウェルズのラジオドラマでの演技があまりにリアルだったので、ドラマではなく本当に火星人が地球に攻めてきたと思い込んだリスナーたちがパニックを起こしたそうです。ドラマでは、火星が地球に大接近している設定となっていました。このハッブル宇宙望遠鏡で撮影された火星の写真は、火星が地球から約1億キロメートルの距離に「大接近」したときに撮影されたものです。火星人にとっては、火星が地球に大接近している時が地球に攻め込みやすい時期なのかもしれませんが、天文学者にとっては、火星の大接近は火星の様子を詳しく観察するための絶好のチャンスです。この写真では、北極を覆う氷や、白い雲(火星部分左端)などが鮮明に写し出されています。火星表面上の黒く見えている部分は、チリが強い風によって巻き上げられている場所です。

関連記事

1995年10月30日月曜日

ヘール・ボップ彗星の最新の姿


ヘール・ボップ彗星は1997年初めに今世紀最も明るい彗星となるのでしょうか? 今年7月に発見されて以来、ヘール・ボップ彗星は多くの憶測を引き起こしました。 現時点ではまだ木星軌道よりも外側に位置していますが、それでもなお非常に明るく、太陽に向かって進むに連れてさらに明るくなることが予想されます。 このハッブル宇宙望遠鏡による最新の画像では、彗星中心の氷の核(写真中央やや右下)の、蒸発と回転によって放出されたクランプ(写真中央やや上)が鮮明に写し出されています。 天文学者は、ハッブル宇宙望遠鏡のデータを用いて、ハレボップ彗星が本当に巨大な彗星で、予想通り非常に明るくなるのか、それとも太陽に近づくにつれて予想よりも早く蒸発して消えてしまうのかを見極めようとしています。

関連記事

1995年10月27日金曜日

タランチュラ星雲と超新星1987A


この大マゼラン雲のクローズアップ写真の左側には、「蜘蛛」の様な形状の星雲が写っています。この星雲は毒蜘蛛のタランチュラになぞらえて「タランチュラ星雲」と呼ばれています。タランチュラ星雲の中には、30 Doradusと呼ばれる若くて高温の星の集団が存在します。30 Doradusに含まれている星々は、宇宙の中で最も重い部類の星で、それぞれの星が太陽の約50倍の質量を持つと考えられています。このような太陽の50倍もの質量を持つ重い星は、太陽の100倍もの巨大なエネルギーを放出していると考えられています。右下に写っている明る星は超新星「SN1987A」です(正確には爆発した後なので超新星の残骸です)。30 Doradusに含まれる重い星々も、いずれは「SN1987A」と同様に超新星爆発を起こして星としての寿命を終える運命にあります。重い星は自らの重さを支えるために大量の燃料が必要です。したがって、太陽が数十億年も燃焼し続けるのに対して、30 Doradusの星たちの寿命は数百万年程度だと考えられています。大質量の星は超新星爆発を起こしてその一生を終え、その後には中性子星やブラックホールが残ると考えられています。

関連記事

1995年10月26日木曜日

スペースシャトルエンデバーから見たオーロラ


スペースシャトルエンデバーは、1994年10月に、高度約213キロメートルの位置で上下逆さまの状態で飛行し、背面に取り付けられたカメラで見事な南半球のオーロラを撮影しました。オーロラは太陽から放出される高エネルギーの粒子によって引き起こされる現象で、南極及び北極近辺に出現します。オーロラの高さは最も高い位置で高度約320キロメートルにも達します。オーロラは極地方に現れるため、地上から見るためには高緯度地方に行く必要があります。オーロラの繊細な色は、高エネルギーの電子が酸素原子や窒素原子と衝突することによって生じます。この写真では、前景にスペースシャトルの後部構造が写っています。地球に向かって突き出しているのが垂直尾翼です。 背面に星が写っていますが、シャッターを開けている間に星が動いたことにより、星が点ではなく小さな光跡を描いて写っている様子が見て取れます。

関連記事

1995年10月24日火曜日

1991年7月11日に起こった皆既日食


この写真は、1991年7月11日に、中東から、中国南部、太平洋南部のマーシャル諸島近辺にかけて発生した皆既日食の様子を写したものです。異なる露出時間の写真を合成することによって、淡い構造まで映し出されています。皆既日食は比較的狭い『皆既日食帯』の中にいなければ見ることができません。皆既日食帯の外では皆既日食は見られませんが、近辺にいれば部分日食を見ることができます。

関連記事

太陽のプロミネンス
太陽が放射するX線
太陽に最も近い惑星、水星

トップページ

1995年10月22日日曜日

クエーサーと銀河の衝突?


1963年のこと、それまで近傍の恒星だと思われていた天体の赤方変位が極めて大きな大きな値であることが明らかとなり、天文学者を驚かせました。赤方変位が極めて大きいということは、その天体が非常に遠方に存在することを意味します。1963年の発見以降も、同種の天体が多数見つかり、今日ではこのような天体をクエーサー(準恒星状天体)と呼んでいます。クエーサーは、観測できる宇宙のなかで最も遠くに存在する天体であり、クエーサーの中心に存在する巨大ブラックホールがエネルギー源となって莫大なエネルギーを放出していると考えられています。このハッブル宇宙望遠鏡によって撮影された写真に写っているのはPKS2349と呼ばれるクエーサーです。非常に興味深いことに、恒星のように見えるクエーサーの核が、核の周りに広がった星雲の中心からずれているように見えます。現在提唱されている説では、天文学者の解析では、クエーサーと通常の銀河が衝突合体した結果、このような状況になったのではないかと解釈されています。しかし、この解釈が正しいとすると、クエーサーと通常の銀河が同時代に存在することになり、これまでの天文学の常識をくつがえすことになります。

関連記事

1995年10月19日木曜日

球状星団 M5


球状星団M5は10万個もの恒星が寄り集まった星の大集団です。球状星団の星は、星団の重心の周りを軌道運動しており、球状星団そのものも銀河系中心の周りを軌道運動していることが知られています。銀河系の周りに、これまでに160個ほどの球状星団が知られています。これらの球状星団は、銀河系中心を対称点としてほぼ球形に分布しています。地球から見ると球状星団の分布は一様ではありませんが、これは地球が銀河系の中心から離れた場所にあることを意味しています。球状星団を構成する星は、古い星が多いことが知られています。球状星団の星の年齢はかなり直接的な方法で計測することができ、これまで行われた計測によって最も古い星で、140億歳程度の年齢であることがわかっています。この事実によって、宇宙の年齢は少なくとも140億年以上であることとなり、球状星団の年齢が宇宙の歴史を探る上で重要なヒントにもなっています。

関連記事

1995年10月18日水曜日

土星の嵐


土星は太陽系で2番目に大きな惑星で、特徴的なリングを伴っていることで有名です。この写真は1994年にハッブル宇宙望遠鏡によって撮影されました。異なる波長で撮影された写真を合成することで、カラーを作り出しています。土星の表面(中心近く)に白い模様が見えていますが、これは土星大気の中で発達した嵐(台風)です。土星大気の主な成分は水素とヘリウムですが、白く見えている嵐の部分にはアンモニアの氷の結晶が舞い上がっています。嵐の大きさは写真では小さく見えますが、実際の大きさは地球の直径ほどもあります。

関連記事

1995年10月12日木曜日

若い天体が放つ激しい宇宙ジェット


写真左端に白い星雲が写っていますがこの星雲中に存在する若い星から画面右に向かって激しいジェットが吹き出されています。星そのものは星雲に隠されており写真には写っていません。このジェット天体には HH-47という名前が付けられています。ジェットは秒速300キロメートルにも及ぶ超高速で噴出されていますが、実際にはジェットの大きさが数兆キロメートルにも及ぶ巨大なものであるため、望遠鏡で観察してもジェットはあたかも停止しているかのように見えます。

関連記事