1995年9月30日土曜日

活発に活動する電波銀河


この図は、活動的な電波銀河 3C368の可視光の写真(赤)に、電波写真(青い等高線)を重ねあわせたものです。電波銀河というのは電波で望遠鏡で検出される銀河のことです。銀河の出す強い電波は、その銀河で何がしかの高エネルギー現象が起きている証拠であると考えられています。この銀河の場合、銀河の中心近くから吹き出す双極ジェットが強い電波を出す原因だと考えられています。一方で、可視光で見えている構造は、ジェットによって誘発された星形成の痕跡だと考えられています。

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1995年9月29日金曜日

国際紫外線天文衛星



国際紫外線天文衛星(IUE)は、NASAと欧州宇宙機関(ESA)、惑星プラズマ・大気研究センター(PPARC)の共同プロジェクトとして、1978年にNASAのデルタロケットによって打ち上げられました。IUEの寿命は3-5年程度と考えられていましたが、実際には17年以上もの間稼働し続け、彗星、惑星、恒星、新星、超新星、銀河など、10万個以上の天体を観測しました。IUEは、地上にいる天文学者によってリアルタイムで管理された初の観測衛星でした。

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1995年9月27日水曜日

金星の景色


この画像は、NASAのマゼラン衛星のレーダー装置によって作成された金星の火山、マアト山(標高約8000メートル)の様子です。金星の表面は厚い雲の覆われており、高性能の望遠鏡を用いてもその表面を直接見ることはできません。しかしレーダー技術を用いると金星地表の立体構造を詳しく調べることができます。この画像の色は、金星探査機 ベネラ13号、ベネラ14号が金星から送ってきたテレビ映像の色を参考に人工的に着色された疑似カラーです。

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金星への着陸


この画像は、ソビエトの金星探査機、ベネラ13号が撮影した金星表面のパノラマ写真の一部です。ベネラ13号は1982年3月に金星の表面に着陸しました。金星の雲は主に硫酸で出来ており、金星表面の温度は摂氏500度、気圧は地球の海面気圧の92倍にも達すると考えられています。このように過酷な環境の金星ですが非常に頑丈に作られたベネラ13号は長時間金星表面で活動することに成功しました。ちなみに金星に初めて着陸した探査機は、同じくソビエトのベネラ7号です。ベネラ7号は1970年に金星に着陸しました。

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1995年9月26日火曜日

南天で見る星の日周運動


地球が自転していることに起因して夜空の星は一定の場所(天の北極と南極)を中心に、見かけ上回転しているように見えます。これを星の日周運動とよびます。長時間の露光をかけて星空の写真を撮ると、この写真のように日周運動の綺麗な軌跡を捉えることができます。この写真に写っているのは、オーストラリアのニューサウスウェールズ州にあるアングロオーストラリア天文台の望遠鏡ドームです。オーストラリアは南半球にあるので、星々は天の南極を中心に回転しているように見えます。

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1995年9月25日月曜日

オリオン座の馬頭星雲


赤い色の星雲を背景に『馬の頭の形』をした黒い模様が写真中央やや右よりに見えています。オリオン座に位置するこの星雲は全天でも最も有名な星雲の1つで『馬頭星雲』と呼ばれています。写真中央やや左に見えている明るい星は、オリオン座の腰のあたりにある3つ星の1つです。馬の頭に見える黒い形は、明るい星雲の前景にある塵やガスからなる雲が光を遮ることによって形成されています。地球大気の雲と同様に宇宙空間の雲も長い年月の間には形を変えていくので、遠い将来には馬頭星雲も今とは異なる形になっていることでしょう。背景の星雲の赤い色は、電子が陽子と再結合して水素原子ができる過程で放出されます。この写真には自分で光っている星雲以外に星の光を反射して輝いている反射星雲も見られます。反射星雲は主に塵でできており、近隣の星からの光、特に青い光を反射します。

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1995年9月24日日曜日

巨大なクレーターが印象的な土星の小さな月、ミマス


土星の衛星ミマスは土星の衛星の中で最も小さいものの1つで、表面に非常に大きなクレーターが見られることで有名です。このクレーターには、1789年にミマスを発見したウイリアム・ハーシェルにちなんで、ハーシェルという名前が付けられています。ミマスは小さな衛星なので質量も小さく、表面には球形の形状を保つに必要な最小限度の重力しか働かないと考えられています。この弱い重力のため、写真に見られる巨大クレーターのような大きな凹凸を伴う形状が表面に残りやすいと考えられています。ミマスを構成する成分は大部分が氷で、ごく僅かに岩石が含まれています。いわば、ミマスは巨大な「雪の玉」です。この写真は、1980年にボイジャー1号によって撮影されたものです。

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1995年9月23日土曜日

ガソリンの雨が降る木星の月、タイタン


木星の衛星タイタンは、大気を持つ珍しい衛星として有名です。太陽系の中で大気をまとった衛星は、木星の衛星タイタンと海王星の衛星トリトンの2つだけです。タイタンの大気の主成分は、地球の大気と同様に窒素です。しかし、窒素に次いで多い成分はメタンやエタンなどで、この点は地球の大気とかなり状況が異なっています。メタンやエタンを多く含む大気中には分厚い雲が形成されており、おそらく「ガソリン」とよく似た化学組成の雨が降っていると考えられています。また、タイタンの大気から有機物の存在を示唆する化学物質が検出されていることから、タイタンにはもしかすると生命が存在するのではないかと期待する科学者もいます。しかし、分厚い雲に覆われていることから、タイタンの表面の詳しい様子は未だによく解っていません。この写真は1980年にボイジャー1号によって撮影されたものです。最近ではハッブル宇宙望遠鏡によってより詳しいタイタンの状況が明らかにされています。

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1995年9月22日金曜日

月面に降り立った人類


この写真に写っているのはアポロ11号の月面着陸ミッションで月面に降り立った宇宙飛行士 バズ・オルドリンです。オルドリンはニール・アームストロングに続いて、人類として2番めに月面に降り立ちました。ニール・アームストロングとバズ・オルドリンが月面で活動している間、3人目の宇宙飛行士、マイケル・コリンズは月を周回する軌道上で月面で活動する宇宙飛行士の活動をサポートしました。アームストロングとオルドリンは、月面に記念碑を建立しました。記念碑には次のように書かれているそうです。「西暦1969年7月、我等惑星地球より来たれり。全人類の平和を希求してここに来れり (HERE MEN FROM THE PLANET EARTH, FIRST SET FOOT UPON THE MOON JULY 1969 A.D., WE CAME IN PEACE FOR ALL MANKIND)」。

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1995年9月21日木曜日

小さな一歩


1969年7月20日、人類が初めて月面に降り立ちました。この写真に写っているのは、宇宙飛行士 ニール・アームストロングによって月面に印された最初の一歩の足跡です。アームストロング飛行士が月面に降り立つ瞬間の生中継は、一説には世界中で10億人の人が観たと言われています。月面に降り立つに際しニール・アームストロング飛行士は、「これは一人の人間にとっては小さな一歩だが、人類にとっては偉大な飛躍である(That's one small step for (a) man, one giant leap for mankind.)」という言葉をのこしています。

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1995年9月20日水曜日

最も低温の星?



ハッブル宇宙望遠鏡によって撮影されたこの写真の右端近くに写っている淡い星(GL 105C)は、今まで知られている主系列星の中で最も温度が低いのではないかと予想されています。天文学者の行った解析によると、この星の質量は星の中心で核融合反応が起こるための下限ギリギリであることが解りました。一般的に、主系列星は質量が重いほど中心の温度が高いので、質量が主系列星としての下限ギリギリであるということは、星の温度も主系列星としては最も低い部類に属すると予想されます。

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1995年9月19日火曜日

UKシュミット望遠鏡がとらえた小マゼラン雲


南半球の夜空の最大の見所の1つは大小マゼラン雲でしょう。大小マゼラン雲は我々の銀河系のごく近傍に存在する不規則な形をした銀河です。この写真に写っているのは小マゼラン雲です。小マゼラン雲までの距離はおおよそ25万光年で、小マゼラン雲はには生まれたばかりの若い星が多数含まれています。写真の中で青っぽく見える部分が若い星です。小マゼラン雲は実際には2つの不規則銀河が見かけ上1つの不規則銀河のように見えていることが知られています。ちなみに写真の右端に写っている丸い天体は球状星団です。

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1995年9月18日月曜日

UKシュミット望遠鏡でとらえられた大マゼラン雲


探検家マゼランは、有名な世界航海の道中、南天の夜空を熱心に観測しました。かじき座ときょしちょう座には2つの巨大な星雲が横たわっていますが、今日これらの星雲は、探検家マゼランにちなんでマゼラン雲と呼ばれています。マゼラン雲は我々の銀河系に寄り添うように存在している不規則な形の銀河です。この写真に写っているのは2つのマゼラン雲のうち大きい方の大マゼラン雲です。大マゼラン雲は我々の銀河系から最も近い銀河で、距離は約18万光年です。大小マゼラン雲と銀河系の間は、冷たい水素ガスの帯でつながっています。なぜそのような水素ガスの帯が存在するのか今のところはっきりとした説明は存在しません。最近では大マゼラン雲に属する星による重力効果が検出され話題となりました。重力レンズ効果を詳しく調べると、電磁波では観測できない物質の存在を知ることができると考えられています。

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1995年9月17日日曜日

かみのけ座銀河団に属する数千の銀河


この写真には多くの光の点が写っていますがそのほとんどは「かみのけ座銀河団」に属する銀河です。かみのけ座銀河団には数千個の銀河が属しています。上の写真に写っている光の点の一つ一つは、それぞれが我々の銀河系と同じように、1千億個程度の恒星から構成された恒星の大集団です。かみのけ座銀河団は比較的地球から近い銀河団として知られていますが、それでもこの銀河団までの距離は数億光年もあります。銀河団自体の大きさもかなり巨大で、差し渡しが数百万光年もあります。この画像は、Skyviewというバーチャル天文サイトから取得されたものです。Skyviewでは電波からガンマ線まで様々な波長の天文画像を楽しむことができます。

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1995年9月16日土曜日

実験中のロバート・ゴダード


ロバート・ゴダードは1882年にマサチューセッツ州で生まれた近代ロケット工学の父とも言える人物です。16歳のときにHGウエルズのSFを読み宇宙飛行に夢を抱くようになったそうです。1926年には液体燃料ロケットを設計しました。彼の液体燃料ロケットの技術は、後に月面着陸を成功させたアポロ計画のサターンロケットにおいても使用されました。ゴダードは生涯に200以上のロケット技術に関する特許を取得しました。

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1995年9月15日金曜日

軌道上を漂う宇宙ステーション、ミール


1995年にスペースシャトルから撮影されたロシアの宇宙ステーション、ミールの様子です。この近接飛行は、後にミールとシャトルの間でドッキングを行うための技術的なチェックとして行われました。政治的に敵対することが多い米国とロシアですが宇宙開発では密接に協力しあってきた歴史があります。

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1995年9月14日木曜日

人類が初めて見た月の裏側


これはソビエトの月探査衛星ルナ3号によって1959年10月3日に撮影された月の裏側の写真です。月の裏側の様子は、ルナ3号の観測によって明らかにされました。ルナ3号による探査の前年には、同じくソビエトのルナ2号が初めて月の地表への着陸に成功しています(実際には着陸というよりも、衝突に近いものでしたが)。このように人類の月探査の黎明期はソビエトがリードしていました。ちなみに、月の自転周期は地球を周る公転周期と同期しているため地球から月の裏側を見ることはできません。

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1995年9月13日水曜日

楕円銀河 M87


M87は楕円銀河というタイプの銀河です。我々の天の川銀河は渦巻銀河で渦状腕が見られるのに対して楕円銀河には渦状腕はなく回転楕円体状の形状をしています。また、楕円銀河は渦巻銀河に比べてガスや塵の量が少なく年老いた星が多いという特徴もあります。楕円銀河の中でもM87は特に変わっており、一般的な楕円銀河に比べると質量が圧倒的に大きいことが知らています。M87は乙女座銀河団の中心に位置しており、多くのガスや塵がこの銀河に何らかのメカニズムで流入して巨大化したのではないかと考えられています。この写真はアングロ・オーストラリアン望遠鏡で撮影されたものです。

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1995年9月12日火曜日

渦巻き銀河 M83


アングロオーストラリア望遠鏡で撮影された渦巻銀河 M83の写真です。渦状腕に沿って青く見えるところには主に生まれたばかりの若い星が分布しています。一方、渦状腕にそって黒く見えている部分は、星間塵による吸収で背景の光が隠されている部分です。我々の銀河系も、M83と同様に渦巻銀河であり、M83の方から銀河系を観察すると、ちょうど我々がM83を見ているのと同様の渦巻銀河が観測されるはずです。

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1995年9月11日月曜日

幼少期の太陽系を垣間見る


この写真に写っているのは、ハッブル宇宙望遠鏡がとらえたオリオン星雲内で生まれつつある極めて若い星々、いわば星の胎児の様子です。この写真に写っている星は極めて若く、数百万年前に形成されたばかりだと考えられています。それぞれの星の周りに「原始惑星系円盤」と呼ばれる円盤状の構造が見えています。我々の太陽系の惑星も、50億年前にこのような原始惑星系円盤の中で生まれたと考えられています。

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1995年9月10日日曜日

球状星団M4に見つかった白色矮星


これはハッブル宇宙望遠鏡で撮影された球状星団M4の一部です。写真の中で白丸で囲まれている淡い天体は、白色矮星と呼ばれる天体です。太陽程度の質量の星がその一生を終えると、星の残骸として白色矮星が残ると考えられています。白色矮星は当初は高温ですが、やがて少しづつ冷えていきます。球状星団中の白色矮星の年齢を調べることで球状星団の年齢や宇宙そのものの年齢を探る手がかりが得られると考えられています。

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1995年9月9日土曜日

月への最後のミッション


NASAはこれまで9回の月着陸ミッションを行い、合計12人の宇宙飛行士を月面に送り込んできました。この写真に写っているのは、1972年に行われた最後の月着陸ミッション(アポロ17号)で打ち上げを待っているサターン5型ロケットです。アポロ17号のミッションを最後に、人類は月へ降り立っていません。

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1995年9月8日金曜日

赤外線で見た銀河系の中心部分


銀河系の中心部分は、星間空間の塵による吸収によって可視光ではその様子を見ることができません。この画像は1990年にCOBE衛星によって撮影された銀河系中心部分の赤外画像です。赤外線の波長域では、可視光に比べて塵による吸収が少なく銀河系中心部分の様子をつぶさに観察することができます。

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1995年9月7日木曜日

ハッブル宇宙望遠鏡が捕らえた遠方銀河


これはハッブル宇宙望遠鏡を用いて、極めて長時間の露光をかけて撮影した遠方銀河の写真です。写真に写っている天体は全て銀河で、一番遠いものは80億光年もの彼方に位置しています。このような極めて遠方の銀河は合体衝突の過程にあるものが多く、銀河の進化過程を研究する上で大きなヒントを科学者に与えてくれます。

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1995年9月6日水曜日

木星の衛星カリスト


木星の衛星カリストの表面には、激しい隕石の衝突によって出来たクレーターが無数に存在しています。1610年に、ガリレオはイオ、エウロパ、ガニメデ、カリストの4つの衛星(ガリレオ衛星)を発見していますが、この中でもカリストの表面は特にデコボコしていることで有名です。

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1995年9月5日火曜日

木星の衛星エウロパ


木星の衛星エウロパの地下には、太陽系に地球以外で唯一液体の水(海)が存在すると考えられています。想定される海の深さは約50キロメートルです。エウロパの海は、地球外生命が存在する可能性のある場所として期待されています。

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1995年9月4日月曜日

地震の多発する世界、ガニメデ


木星の最大の衛星で、なおかつ太陽系で最大の衛星でもあるガニメデは、地震が多発する衛星として知られています。ボイジャー衛星が取得したデータを解析した結果、地球のプレートテクトニクスと同様に、表層が活発に動いていることがわかりました。

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1995年9月3日日曜日

クレメンタイン衛星から撮影された月


この写真は1994年にクレメンタイン衛星が撮影した月の画像をつなぎ合わせたものです。クレメンタイン衛星は、月の裏側まで撮影しましたが、この合成写真では、地球から見えるの部分のみが写っています。月の自転周期(28日)は月が地球の周りを公転する周期と同じであるため、常に一定の面を地球に向けています。

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1995年9月2日土曜日

高温ガスと暗黒物質


可視光で撮影した銀河団の写真の上に、ROSAT衛星で撮影されたX線写真を重ねた画像です。X線の成分は紫色で表示されています。この画像から、高温のガスが銀河団にトラップされている様子がわかります。後に行われた解析で、銀河団に属する銀河の重力だけでは、高温ガスをこのように一定の場所に捕らえておくには不十分であることがわかりました。つまりこの写真は、暗黒物質(ダークマター)が宇宙に存在していることを間接的に示していることになります。ダークマターの正体は、現在でもなお未解明の現代物理学上の大問題です。

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1995年9月1日金曜日

スブラマニアン・チャンドラセカール(1910-1995)


チャンドラセカールは現代を代表する理論天体物理学者の1人です。チャンドラセカールの理論的考察には、見事なまでの数学的な正確さと物理的な深い考察が同居しており、彼の著書や論文は現在でも多くの学生や研究者の模範となっています。チャンドラセカールの大きな業績の1つは、全ての星が白色矮星になるわけではないことを見出したことです。ある質量以上の星は、白色矮星の状態を超えてさらに崩壊を続けることをチャンドラセカールは見出しました。この限界質量は、今日ではチャンドラセカール質量と呼ばれています。

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