カニ星雲(M1)は、比較的重い星がその生涯の最後に迎える大爆発(超新星爆発)の後に残る残骸(超新星残骸)です。カニ星雲が形成される原因となった超新星爆発が起こったのは900年も前の話ですが、現在でもなおカニ星雲は膨張し続け、なおかつ輝き続けています。カニ星雲から放射される光は大部分が「偏光」していることが知られています。光は、電場と磁場が相互に入れ替わりながら伝播していく波(電磁波)ですが、偏光が同じ光は、同じ面で振動しています。釣りやスキーをする人は、水面や雪面を見やすくするために偏光グラスを用いますが、偏光グラスは一定の方向の振動(偏光)のみ通過することができるガラスを使用しています。光は物質の表面で反射すると偏光します。また、非常に強い磁場によっても偏光は起こります。この写真のカラーは、異なる偏光の方向を表しています。天文学者は偏光イメージを詳しく解析することで、どのような物理過程によって光が放射されているのかを調べています。
(執筆:2017/11/28)