大マゼラン雲の中で最も明るいX線源は「LMC X-1」と呼ばれる連星系です。LMC X-1は、コンパクト天体を含む連星系だと考えられています。連星系中のもう一つの星から放出されたガスが、コンパクト天体の上に落下し、その過程でガスが加熱され、X線を放射します。伴星からのガスの流入でX線が発生すると、電子がガス中の原子から弾き出されますが、弾き出された電子が再び原子核と結合するときに、最初のX線とはまた別のメカニズムでX線が発生します。LMC X-1の運動を詳しく調べた結果、この連星系に含まれるコンパクト天体はおそらくブラックホールであることが示唆されています。
(執筆:2019/7/20)