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1996年3月16日土曜日

渦巻銀河 M90

 


渦巻き銀河M90は、我々の天の川銀河に最も近い銀河団であるおとめ座銀河団の中心付近にあります。NGC4569とも呼ばれるこの銀河は、非常にコンパクトで明るい中心核を持っています。おとめ座銀河団に近接しているため、M90は青方偏移を示し、遠ざかるというよりむしろこちらに向かってきていることがわかります。ほとんどの銀河は赤方偏移を示し、私たちから遠ざかっていくことを示しています。赤方偏移と距離の関係を正確に測定することは、宇宙のスケールを示すことになり、最近盛んに議論されているテーマです。
(翻訳:2023/2/3)


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局部銀河群に属する NGC205銀河
子持ち銀河 M51
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1996年3月5日火曜日

M87の中心にはブラックホールがある?

 


近傍の巨大銀河M87の中心は、高密度で荒々しい場所です。ハッブル宇宙望遠鏡が1994年に撮影したこの写真で、この巨大な楕円形銀河の中心を高温のガスの円盤が回っていることが明らかにさ れました。この円盤は、上の写真の左下に写っています。この円盤の中のガスの回転速度は、ガスが回っている天体の質量を示し、円盤の大きさは中心天体のおおよその体積を示します。これらの観測から、中心部の密度が非常に高く、そこに存在しうる唯一の天体はブラックホールであると推測されています。また、この写真には、中心天体から噴き出す高エネルギーのジェットも写っています。このジェットは高速で移動する荷電粒子で構成され、10光年ほどの大きさのノットに分かれています。
(翻訳:2023/2/1)


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ブラックホール越しに見た星空
楕円銀河の中心部分にある謎の渦巻き
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1996年1月10日水曜日

M100のセファイド


ハッブル宇宙望遠鏡によって撮影された上の3枚の写真は、M100銀河の中の同じ領域を、異なる時間に撮影したものです。3枚の写真を比べると中央に写っている星の明るさが変光していることが分かります。明るさが変化する星を「変光星」と呼びますが、ここに写っているのは「セファイド型変光星」(もしくは、単にセファイド)と呼ばれるタイプの変光星です。セファイドには、変光周期と明るさの間に明確な相関関係があることが知られています。したがって、変光周期を計測することでセファイドの明るさがわかり、さらにその明るさをもとに正確な距離を知ることができます。M100中のセファイドまでの距離がわかると、M100までの距離がわかることになりますが、M100銀河までの距離がわかると、今度はまた別の方法を用いてより遠方の別の銀河までの距離を知ることができます。同様に、異なる種類の天体の距離情報を総合することで、最終的には宇宙全体の大きさを知ることができるのです。このような観点から、セファイドまでの距離測定は、宇宙全体の大きさを知るための「距離梯子」の1段として重要な意味を持ちます。
(執筆:2019/7/24)

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1996年1月9日火曜日

M100と膨張する宇宙


上の写真に写っているのは、1996年の初めごろにハッブル宇宙望遠鏡によって撮影された渦巻銀河 M100です。ハッブル宇宙望遠鏡によるM100の観測によって、この銀河までの距離が正確に計測されましたが、過去の測定値と異なる値が出たために天文学者の間で大きな議論となりました。天体までの距離は、単にその天体だけの問題にとどまらず、宇宙全体の大きさを決める重要な要素でもあるため、過去の値と異なる測定結果が出ると、天文学者や物理学者の間で大きな話題となります。
(執筆:2019/7/24)

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1996年1月8日月曜日

局部銀河群に属する NGC205銀河


我々の天の川銀河は単独で存在しているわけではなく、局部銀河群として知られる25個程度の銀河からなるグループに属しています。局部銀河群には、アンドロメダ銀河(M31)、M32、M33、大小マゼラン雲、ドゥインゲルー1銀河、その他多くの不規則銀河や矮小楕円銀河が含まれます。この写真の「NGC205」も局部銀河群のメンバーです。NGC205は、M32と同様にアンドロメダ銀河(M31)の伴銀河でもあり、M31の中心の南側に位置しています。この銀河は楕円銀河に分類されますが、通常は年老いた星のみで構成される楕円銀河としては珍しく、星形成の兆候が見られることで知られています。
(執筆:2019/7/23)

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1996年1月6日土曜日

矮小楕円銀河 M32


この写真に写っているのは、有名なアンドロメダ銀河 M31の伴銀河である「M32」です。M32はM31のすぐ近傍に存在しているために、M31の写真にしばしば映り込みます。M32は矮小楕円銀河と呼ばれるタイプの銀河です。このタイプの銀河(楕円銀河)は天の川銀河やアンドロメダ銀河等の渦巻銀河とはことなりディスク状の構造は持たず回転楕円体状に星が分布しています。またガスや塵をほとんど含まないこと、比較的進化の進んだ星が多く含まれる等の特徴があります。
(執筆:2019/7/23)

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1995年12月31日日曜日

アンドロメダ銀河 M31 のX線源


天の川銀河と同様に、天の川銀河から最も近い系外銀河である M31にもX線等の高エネルギーの電磁波を放射する多くの恒星系が存在します。上の写真は、X線観測衛星 ROSAT が撮影したM31のX線写真です。明るく(白っぽく)写っているところが強いX線を出している場所です。X線で明るい場所は、渦状腕や銀河の中心部分に当たります。またM31の周囲に分布する球状星団からも強いX線が検出されています。この写真に写っているX線源のほとんどは降着円盤を含む連星系です。M31では、銀河の外側よりも中心に近い部分により多くのX線源が分布していますが、その理由はまだ未解明です。
(執筆:2019/7/21)

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1995年12月20日水曜日

銀河重力レンズ


上の写真の赤い銀河の周りに、四つの青い「光の点」があるのがわかるでしょうか? 赤い銀河の背景には、クエーサーと呼ばれる青い色の天体がありのですが、クエーサーの青い光は光の経路上に位置する赤い銀河の重力によって4つに引き裂かれ、手前にいる我々には4つの独立した光の点として観察されます。このような現象は「重力レンズ効果」と呼ばれています。天文学者たちは、4つに別れたクエーサーの像に見られる変光パターンを計測することで、重力レンズの原因となっている中心の銀河の構造や、宇宙の膨張率等の手がかりが得られると考えています。
(執筆:2019/7/17)

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1995年12月18日月曜日

子持ち銀河 M51


「子持ち銀河」という名前で知られる M51銀河は、古典的な渦巻銀河の例としてよく取り上げられる銀河です。1500万光年しか離れていないM51銀河は比較的明るく、小さな望遠鏡でも観望することが可能な美しい銀河の一つです。M51は上の写真の左側の銀河ですが、M51の右上にも少し小さな銀河があり、そのためM51は子持ち銀河と呼ばれています。「子銀河」の方は、実はM51よりも遠方にある銀河で、そのために子銀河の前面にあるM51の渦状腕がシルエットとして見えています。M51銀河に見られるスパイラル構造は、この子銀河との重力相互作用によって生じたと考えられています。
(執筆:2019/7/16)

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1995年12月15日金曜日

眠れる森の美女銀河 M64


「眠れる森の美女銀河」(スリーピング・ビューティー銀河)と呼ばれるM64は、一見すると穏やかに見える銀河ですが、実際には非常に不思議な性質を持った天体でもあります。最近の観測によると、この銀河の中心部分は外側の領域とは反対方向に回転していることがわかってきました。さらに興味深いことに、中心部と外縁部の中間に当たる部分では、星が周囲の塵やガスと反対方向に回転していることも明らかとなってきました。M64(NGC4826とも呼ばれる) の不思議な内部運動は、小さな銀河と大きな銀河が衝突した結果生じていると解釈されています。
(執筆:2019/7/15)

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ステファンの五つ子
乙女座銀河団
ソンブレロ銀河 M104

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1995年12月5日火曜日

楕円銀河の中心部分にある謎の渦巻き


ハッブル宇宙望遠鏡によって撮影された近傍の楕円銀河 NGC4261の写真には大変興味深い構造が映し出されています。この銀河の中心にはブラックホールがあると考えられていますが、この写真では、一見して銀河中心近くに漂うガスや塵が、渦を巻きながら銀河の中心部(ブラックホール)に吸い込まれているように見えます。しかし、実際は少し状況が違うようです。この渦巻状に見える構造、実は天文学者は、数億年前に楕円銀河に落ち込んだ小さな渦巻銀河の残骸だろうと考えています。このような銀河どうしの衝突や合体は、宇宙では頻繁に発生しており、活動銀河核のような活発な変動を見せる天体の成因と考えらています。NGC4261に埋没した渦巻銀河の位置は、楕円銀河の中心からずれています。このような位置関係が、上記のようなストーリーが背景にあることを推測するヒントを天文学者に与えたのでしょう。
(執筆:2017/12/7)

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1995年9月30日土曜日

活発に活動する電波銀河


この図は、活動的な電波銀河 3C368の可視光の写真(赤)に、電波写真(青い等高線)を重ねあわせたものです。電波銀河というのは電波で望遠鏡で検出される銀河のことです。銀河の出す強い電波は、その銀河で何がしかの高エネルギー現象が起きている証拠であると考えられています。この銀河の場合、銀河の中心近くから吹き出す双極ジェットが強い電波を出す原因だと考えられています。一方で、可視光で見えている構造は、ジェットによって誘発された星形成の痕跡だと考えられています。

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1995年9月19日火曜日

UKシュミット望遠鏡がとらえた小マゼラン雲


南半球の夜空の最大の見所の1つは大小マゼラン雲でしょう。大小マゼラン雲は我々の銀河系のごく近傍に存在する不規則な形をした銀河です。この写真に写っているのは小マゼラン雲です。小マゼラン雲までの距離はおおよそ25万光年で、小マゼラン雲はには生まれたばかりの若い星が多数含まれています。写真の中で青っぽく見える部分が若い星です。小マゼラン雲は実際には2つの不規則銀河が見かけ上1つの不規則銀河のように見えていることが知られています。ちなみに写真の右端に写っている丸い天体は球状星団です。

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1995年9月18日月曜日

UKシュミット望遠鏡でとらえられた大マゼラン雲


探検家マゼランは、有名な世界航海の道中、南天の夜空を熱心に観測しました。かじき座ときょしちょう座には2つの巨大な星雲が横たわっていますが、今日これらの星雲は、探検家マゼランにちなんでマゼラン雲と呼ばれています。マゼラン雲は我々の銀河系に寄り添うように存在している不規則な形の銀河です。この写真に写っているのは2つのマゼラン雲のうち大きい方の大マゼラン雲です。大マゼラン雲は我々の銀河系から最も近い銀河で、距離は約18万光年です。大小マゼラン雲と銀河系の間は、冷たい水素ガスの帯でつながっています。なぜそのような水素ガスの帯が存在するのか今のところはっきりとした説明は存在しません。最近では大マゼラン雲に属する星による重力効果が検出され話題となりました。重力レンズ効果を詳しく調べると、電磁波では観測できない物質の存在を知ることができると考えられています。

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1995年9月17日日曜日

かみのけ座銀河団に属する数千の銀河


この写真には多くの光の点が写っていますがそのほとんどは「かみのけ座銀河団」に属する銀河です。かみのけ座銀河団には数千個の銀河が属しています。上の写真に写っている光の点の一つ一つは、それぞれが我々の銀河系と同じように、1千億個程度の恒星から構成された恒星の大集団です。かみのけ座銀河団は比較的地球から近い銀河団として知られていますが、それでもこの銀河団までの距離は数億光年もあります。銀河団自体の大きさもかなり巨大で、差し渡しが数百万光年もあります。この画像は、Skyviewというバーチャル天文サイトから取得されたものです。Skyviewでは電波からガンマ線まで様々な波長の天文画像を楽しむことができます。

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1995年9月13日水曜日

楕円銀河 M87


M87は楕円銀河というタイプの銀河です。我々の天の川銀河は渦巻銀河で渦状腕が見られるのに対して楕円銀河には渦状腕はなく回転楕円体状の形状をしています。また、楕円銀河は渦巻銀河に比べてガスや塵の量が少なく年老いた星が多いという特徴もあります。楕円銀河の中でもM87は特に変わっており、一般的な楕円銀河に比べると質量が圧倒的に大きいことが知らています。M87は乙女座銀河団の中心に位置しており、多くのガスや塵がこの銀河に何らかのメカニズムで流入して巨大化したのではないかと考えられています。この写真はアングロ・オーストラリアン望遠鏡で撮影されたものです。

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1995年9月12日火曜日

渦巻き銀河 M83


アングロオーストラリア望遠鏡で撮影された渦巻銀河 M83の写真です。渦状腕に沿って青く見えるところには主に生まれたばかりの若い星が分布しています。一方、渦状腕にそって黒く見えている部分は、星間塵による吸収で背景の光が隠されている部分です。我々の銀河系も、M83と同様に渦巻銀河であり、M83の方から銀河系を観察すると、ちょうど我々がM83を見ているのと同様の渦巻銀河が観測されるはずです。

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