ラベル 暗黒物質 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示
ラベル 暗黒物質 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示

1996年2月2日金曜日

重力レンズと暗黒物質


上の写真は、重力レンズ効果によって星が増光する様子を捉えたものです。写真中央の矢印の先の星に注目すると、左の写真に比べて右の写真の方で、星が明るくなっていることが分かります。この増光は、背景にある星の前方を、別の暗い星が通過し、暗い星の重力によって背景の星が放射する光の光路が曲げられ、レンズによって集光されるのと同じ理屈で説明されます。この写真がAPODに登場した1990年代の中頃には、重力レンズ現象を引き起こす目に見えない暗い星が、宇宙の暗黒物質の候補の一つとして挙げられていました。その後、様々な方面から研究が進み、暗黒物質は重力レンズの原因と成るような暗い星ではなく、別の原因であるとする説が有力となっています。
(執筆:2019/8/20)

関連記事


1995年12月4日月曜日

褐色矮星の候補 GL229B


宇宙にはどのような種類の物質が一番多く存在するのでしょうか? この問は現代天文学を考える上で最も重要なものの一つで「暗黒物質の問題」と呼ばれています。その暗黒物質の候補の一つが「褐色矮星」と呼ばれる小さな星です。褐色矮星は、他のどのような種類の星の数よりも多く存在すると考えられていますが、非常に暗いために実際に検出することは容易ではありません。暗黒物質の問題を考える上で大変大きな意味を持つ写真が1994年に撮影されました。この写真には、非常に明るい星の傍らに、小さな暗い星が写っているのわかります(写真中央からやや右)。この星は、おそらく褐色矮星であろうと考えられています。現在、この星がどのような組成でできているのかが議論となっています。
(執筆:2017/12/6)

関連記事

1995年11月8日水曜日

宇宙をシミュレートする


この図の立方体は、グランドチャレンジ・コスモロジーコンソーシアム(GC3)によって行われたシミュレーションの結果を表しています。この立方体のサイズは非常に巨大で、一辺の長さを横切るのに光の速度で5億年かかります(つまり、一辺5億光年)。青い部分は低密度のガス、赤い部分は高密度のガスを表しています。宇宙が生まれた瞬間は物質とガスの分布は非常に均一だったと考えられていますが、GC3のシミュレーションは宇宙が進化するとともに重力の影響で密度の高い領域が形成されていくことを示しています。このシミュレーションは、宇宙の3分の1がゆっくりと動く低温の暗黒物質、3分の2が速く動く高温の暗黒物質でできているという仮定のもとに行われましたが、シミュレーションの結果は実際の宇宙の観測結果とよく一致していることが知られています。
(執筆:2017/11/2)

関連記事