土星最大の衛星タイタンの表面は厚い大気に覆われているため、可視光での観察では表面の様子を知ることはできません。しかし可視光よりも波長の長い近赤外線で観測すると、可視光での観測に比べてかなり明確に表面の様子を知ることができます。この写真はハッブル宇宙望遠鏡に搭載された近赤外カメラで撮影されたタイタンの様子です。近赤外線で明るく輝いている部分(写真の中で白く見えている部分)は差し渡し4000キロメートルほどもある巨大な構造です(地球で言うと、オーストラリア大陸の大きさに匹敵します)。ハッブル宇宙望遠鏡による赤外写真は、1997年に行われたカッシーニ計画でタイタンの直接探査を計画する上で重要な指針となりました。