ハッブル宇宙望遠鏡によって撮影された上の3枚の写真は、M100銀河の中の同じ領域を、異なる時間に撮影したものです。3枚の写真を比べると中央に写っている星の明るさが変光していることが分かります。明るさが変化する星を「変光星」と呼びますが、ここに写っているのは「セファイド型変光星」(もしくは、単にセファイド)と呼ばれるタイプの変光星です。セファイドには、変光周期と明るさの間に明確な相関関係があることが知られています。したがって、変光周期を計測することでセファイドの明るさがわかり、さらにその明るさをもとに正確な距離を知ることができます。M100中のセファイドまでの距離がわかると、M100までの距離がわかることになりますが、M100銀河までの距離がわかると、今度はまた別の方法を用いてより遠方の別の銀河までの距離を知ることができます。同様に、異なる種類の天体の距離情報を総合することで、最終的には宇宙全体の大きさを知ることができるのです。このような観点から、セファイドまでの距離測定は、宇宙全体の大きさを知るための「距離梯子」の1段として重要な意味を持ちます。
(執筆:2019/7/24)