1963年のこと、それまで近傍の恒星だと思われていた天体の赤方変位が極めて大きな大きな値であることが明らかとなり、天文学者を驚かせました。赤方変位が極めて大きいということは、その天体が非常に遠方に存在することを意味します。1963年の発見以降も、同種の天体が多数見つかり、今日ではこのような天体をクエーサー(準恒星状天体)と呼んでいます。クエーサーは、観測できる宇宙のなかで最も遠くに存在する天体であり、クエーサーの中心に存在する巨大ブラックホールがエネルギー源となって莫大なエネルギーを放出していると考えられています。このハッブル宇宙望遠鏡によって撮影された写真に写っているのはPKS2349と呼ばれるクエーサーです。非常に興味深いことに、恒星のように見えるクエーサーの核が、核の周りに広がった星雲の中心からずれているように見えます。現在提唱されている説では、天文学者の解析では、クエーサーと通常の銀河が衝突合体した結果、このような状況になったのではないかと解釈されています。しかし、この解釈が正しいとすると、クエーサーと通常の銀河が同時代に存在することになり、これまでの天文学の常識をくつがえすことになります。
NASAが毎日更新している Astronomy Picture of the Day (APOD) に簡単な日本語の解説を加えて紹介しているAPODのファンページです。1995年6月の本家サイト運営開始日に遡って「古い写真から順番に」紹介していますので最新のAPODとは少し違った楽しみ方ができると思います。随時更新。オリジナルページは、こちら⇛http://apod.nasa.gov/apod/astropix.html
1995年10月22日日曜日
クエーサーと銀河の衝突?
1963年のこと、それまで近傍の恒星だと思われていた天体の赤方変位が極めて大きな大きな値であることが明らかとなり、天文学者を驚かせました。赤方変位が極めて大きいということは、その天体が非常に遠方に存在することを意味します。1963年の発見以降も、同種の天体が多数見つかり、今日ではこのような天体をクエーサー(準恒星状天体)と呼んでいます。クエーサーは、観測できる宇宙のなかで最も遠くに存在する天体であり、クエーサーの中心に存在する巨大ブラックホールがエネルギー源となって莫大なエネルギーを放出していると考えられています。このハッブル宇宙望遠鏡によって撮影された写真に写っているのはPKS2349と呼ばれるクエーサーです。非常に興味深いことに、恒星のように見えるクエーサーの核が、核の周りに広がった星雲の中心からずれているように見えます。現在提唱されている説では、天文学者の解析では、クエーサーと通常の銀河が衝突合体した結果、このような状況になったのではないかと解釈されています。しかし、この解釈が正しいとすると、クエーサーと通常の銀河が同時代に存在することになり、これまでの天文学の常識をくつがえすことになります。