1996年2月8日木曜日

これまでで最も長い尾を持つ彗星


百武彗星(C/1996 B2)は1996年1月30日に百武裕司氏によって発見されました。上の写真の中心部付近に写っている輪郭がぼやけた天体が、発見されて間もない頃の(明るくなる前の)百武彗星です。百武彗星は過去200年間の間に出現した彗星の中で最も太陽に近づいた彗星で、最終的に非常に見かけの光度が明るくなり、尾の長さも過去に観測された彗星の中で最長となりました。
(執筆:2019/8/27)

関連記事


トップページ

1996年2月7日水曜日

火星の午後の風景


私達が火星表面に降り立ったとしたら、そこにはどの様な景色が広がっているのでしょうか? 1976年に行われたバイキング計画による火星の探査で、人類はこの問に対する答えを得ました。上の写真は、バイキング1号が撮影した火星表面の景色です。この写真は「火星の午後」にあたる時間帯に撮影されました。全体的に風景が赤っぽく見えるのは、土壌中に豊富に含まれる鉄の色です。残念ながらバイキング1号の写真には火星人のような生命体は写っていませんでした。しかし、この写真には映らないような微生物のような小さな生命が存在するのではないかと推測する研究者もいます。
(執筆:2019/8/26)

関連記事


トップページ

1996年2月6日火曜日

最も古い宇宙の構造


上の画像は、COBE衛星によって撮影された、銀河系の北極と南極(銀極)方向のマイクロ波写真です。この画像からは、ノイズや既知の信号、地球の運動等の影響は取り除かれていますが、それでも幾つかのスポット状の構造が画像中に見て取れます。COBE衛星によって撮影されたマイクロ波放射は、150億年前に宇宙がビッグバンで始まってから、僅か100万年後の非常に初期の宇宙から発せられた放射なので、上の画像に見られる構造は、人類が知っている宇宙の構造の中でも最も古いものだと言うことができます。このような宇宙の開闢直後に現れた構造から現在我々が知っている宇宙へ、どのように宇宙の構造が変化してきたのかについて多くの研究者によって研究が進められています。
(執筆:2019/8/25)

関連記事


1996年2月5日月曜日

宇宙そのものに対する高速運動


私たちの地球はじっとしているわけではありません。地球は太陽の周りを公転しており、その太陽は銀河系の中心の周りを軌道運動しています。また銀河系は局所銀河群の中を軌道運動していますし、局所銀河群はおとめ座銀河団の方向に向かって移動しています。しかし、我々の地球は、これらの運動の和だけでは説明できない運動を行っているようなのです。上の全天球図は、宇宙の背景放射に対して地球が動いている速度を表したもので、青色が濃くなっている方向に向かって(赤色が濃い方向からは遠ざかるように)地球が運動していることを意味しています(この図のデータはCOBE衛星によって取得されたものです)。この図は、地球が宇宙の背景放射に対して秒速約600キロメートルの速度で移動していることを示していますが、このような高速の運動は、上で説明した運動の和では説明がつかず、その起源は未だ謎として残っています。
(執筆:2019/8/24)

関連記事


トップページ

1996年2月4日日曜日

銀河系から最も近い銀河


我々の銀河系から最も近い銀河はどの銀河でしょうか? 1990年代より以前には、天文学者はマゼラン雲が最も銀河系に近い銀河だと考えてきました。しかし、この写真に写っている淡い星の集まりが、実はマゼラン雲よりも近くにある銀河だということが比較的近年になって分かってきました。1994年に、R. イバタ、G. ギルモア、M. アーウィンの3人の天文学者によって発見されたこの銀河は「射手座矮小銀河」という名前で今日では知られています。この銀河は、距離的には近いのですが全体として暗く、なおかつ前景に銀河系内の星が多く覆いかぶさっているので、近年まで見過ごされてきました。その後の研究で、射手座矮小銀河までの距離は、マゼラン雲までの距離の3分の1程度であることが分かりました。また、この銀河は、我々の銀河系の重力によって、引き裂かれる過程にあることも分かってきました。
(執筆:2019/8/23)

関連記事

局部銀河群に属する NGC205銀河
楕円銀河 M87
矮小楕円銀河 M32

トップページ

1996年2月3日土曜日

火星の巨大なクレーター


上の写真はバイキング探査計画の中で撮影された火星です。写真の中心からやや左寄りに巨大なクレーターが写っています。この「シパレリ」という名前で知られる火星のクレーターは、小惑星程度の物体が衝突してできたと考えられています。シパレリ以外にも、火星の表面には多数のクレーターが存在します。これらのクレーターは、数十億年の長い時間の経過の中で、多くの隕石や小惑星が火星の表面に衝突することで形成されてきました。写真の右下には、白い炭酸ガスの霜(つまり、ドライアイス)に覆われた「ヘラス盆地」と呼ばれる地形が見えています。火星の気温は摂氏-140度まで下がることがあるため場所によっては炭酸ガスが固体として存在するのです。しかし、低温度の場所がある一方で、地球の典型的な室温である摂氏20度に達するような場所があることも知られています。
(執筆:2019/8/21)

関連記事


1996年2月2日金曜日

重力レンズと暗黒物質


上の写真は、重力レンズ効果によって星が増光する様子を捉えたものです。写真中央の矢印の先の星に注目すると、左の写真に比べて右の写真の方で、星が明るくなっていることが分かります。この増光は、背景にある星の前方を、別の暗い星が通過し、暗い星の重力によって背景の星が放射する光の光路が曲げられ、レンズによって集光されるのと同じ理屈で説明されます。この写真がAPODに登場した1990年代の中頃には、重力レンズ現象を引き起こす目に見えない暗い星が、宇宙の暗黒物質の候補の一つとして挙げられていました。その後、様々な方面から研究が進み、暗黒物質は重力レンズの原因と成るような暗い星ではなく、別の原因であるとする説が有力となっています。
(執筆:2019/8/20)

関連記事