1995年11月30日木曜日

惑星状星雲の中心に横たわる超高温の星


この写真の中央に写っている星は、表面温度の最も高い星の一つとして知られています。この星は白色矮星と呼ばれる種類の星で、その表面温度は摂氏20万度以上にもおよびます。この温度は、太陽の表面温度の実に30倍以上にもなる高温です。このような超高温によってこの星は大変な明るさで輝いており、その明るさは太陽の250倍以上にも達します。この星は、NGC2440という惑星状星雲の中心に位置しています。この写真はハッブル宇宙望遠鏡によって撮影され、シャープな像を得るための特別の加工が施されています。
(執筆:2017/12/3)

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1995年11月29日水曜日

コンプトン衛星の軌道への投入


ノーベル賞物理学者のアーサー・コンプトン博士の名前を冠した「コンプトンγ線観測衛星(GCRO)」は、1991年4月にスペースシャトル・アトランティス号によって軌道に投入されました。コンプトン衛星の目的は、宇宙から飛来するγ線を探索することでした。この写真には、宇宙遊泳中に笑顔を浮かべるジェリー・ロス宇宙飛行士と、宇宙空間に浮かぶ巨大なコンプトン衛星が写っています。コンプトン衛星の軌道への投入作業では、本来宇宙遊泳を伴う作業は予定されていませんでしたが、衛星の通信用アンテナにトラブルが発生し、その修復のためにロス宇宙飛行士ならびにジェイ・アプト宇宙飛行士が宇宙遊泳を行いました。その後、コンプトン衛星の観測は順調に進み、γ線波長域における初めての掃天観測によって、太陽、クエーサー、パルサー、超新星、ブラックホール、γ線バースト天体などについて多くの新発見がもたらされました。
(執筆:2017/12/2)

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1995年11月28日火曜日

月の南極に見える黒い影


1994年に、フランスの月探査衛星「クレマンティン」は、70日間をかけて月の表面を詳細に観測し月表面の地図を作成しました。上の写真に写っているのは、クレマンティンが撮影した月表面の写真 1500枚をつなぎ合わせて作成した月の南極側の様子です(画像の中心が月の南極です)。この写真に写っている月の上側半分が通常地球から見える月で、下側半分は地球からは見えない部分です(月は常に同じ面を地球に向けて地球の周りを公転しています)。月の南極近辺(画像中央)に大きな凹みがあることが画像からわかります。これは彗星もしくは小惑星が衝突した跡だろうと推測されています。衝突痕と推測される場所には黒く影になった領域が見えます。この影の部分の温度は非常に低く、衝突したかもしれない彗星の氷の破片などが溶けずに残っているのではないかと天文学者は期待しています。
(執筆:2017/12/2)

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1995年11月27日月曜日

ブラックホール越しに見た星空


ブラックホール越しに景色を眺めるとどのように見えるのでしょうか?今日はその疑問に答えてくれる画像を紹介します。上の2枚の画像は、重力の理論に基づいてコンピュータで作成されたシミュレーション画像です。左側の画像はオリオン座近辺の星空の様子を示しています。画像の中央からやや右寄りに、オリオンの三つ星が並んでいるの分かると思います。右側の画像も同じ星空を表していますが、違うのは星空の手前にブラックホールが配置されていることです。ブラックホールの周りではその強い重力の影響で光の軌道が歪められます。このことから、背景となる星空も左の画像に比べて大きく歪んでいます。右の画像には奇妙な点がいくつも見られます。まず、左の画像に見えていた星の多くが、右の画像では2つの星に分裂しています。分裂した星はブラックホールを挟んで両側に見えています。これはブラックホールの強い重力によって星の光が二手に別れてしまうために起こる現象です。また、この画像では分かりにくいですが、理論的にはブラックホールの直近では、実は全天のすべての星が見えています。あらゆる方向からきた光がブラックホールの重力に絡め取られ、ブラックホールの周りを光が軌道運動することからこのような現象が起こります。ブラックホールは物質の密度が高くなった極限の状態であると考えられています。現時点ではまだブラックホールの直接の検出は行われていませんが、連星系、球状星団の中心領域、銀河の中心領域などからブラックホールの存在を示唆する間接的な証拠が多数見つかっています。
(執筆:2017/11/30)

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1995年11月26日日曜日

光子球からみた景色


この画像は、非常にコンパクトな重い天体の近傍から星空を見上げるとどのように見えるかを理論計算に基づいて再現したものです。ここで仮定されているコンパクトな天体は、ブラックホールになるかどうかのギリギリの大きさと質量を持ちます(このような天体は実際には知られていないので、この画像はあくまで理論上の計算結果です)。この理論計算では、観測者は重力の影響で光(光子)が軌道運動して形成される球(光子球)にいるものと仮定されています。重力の影響でどのように景色が歪められるかをわかりやすく見るために、天体の表面には地球の地図、夜空には地球から見える星空が描かれています。画像をよく見ると、球体の一部から空を見ているはずなのに、球体(地球)の表面全体が見えていること、星空も通常見える範囲を超えて、ほぼ全天が一度に見えていることなど、強い重力によって奇妙な現象が起きていることがわかります。
(執筆:2017/11/30)

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1995年11月25日土曜日

最もクリーンな土星の衛星 エンケラドゥス


エンケラドゥスは土星の第2衛星で、ミマスとテティスの間の軌道を公転しています。エンケラドゥスを構成する成分は主に固体の水(氷)で、その表面は太陽系の惑星・衛星の中で、もっとも純度の高い氷で覆われていると考えられています。エンケラドゥスの表面は氷ですっぽり覆われているため、可視光域の観察では白っぽく見えます。また表面には、クレーターは比較的少なく、特徴的な起伏が見られます(エンケラドゥスの表面の状況は、木星の衛星であるガニメデの表面と似ていると言われています)。このような特徴から、エンケラドゥスの表面は比較的最近、火山活動によって再形成されたのだろうと推測されています。エンケラドゥスは、1789年にウィリアム・ハーシェルによって発見されました。
(執筆:2017/11/30)

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1995年11月24日金曜日

土星の第3衛星 テティス


テティスは土星の衛星の中でも比較的大きく土星に近い軌道を周っています。テティスは、ボイジャー衛星1号と2号の両方で直接探査が行われました(ボイジャー1号による探査は1980年に、ボイジャー2号による探査は1981年に行われました)。テティスを構成する成分はほとんどが氷(固体の水)であることが知られています。テティスには直径がテティス自身の直径にも匹敵するような非常に大きなクレーターがあることが知られています(注:この写真には写っていないようです)。このような大きなクレーターが存在するにも関わらずテティスが今の状態で存在していることから、クレーターができた当時にはまだ完全にテティスは固まっておらず温度の高い柔らかな状態であったのだろうと考えられています。テティスの周りには、テレストとカリプソという2つの衛星が存在し、2つはほぼ同じ軌道を周回しています。テティスは1684年にジョヴァンニ・カッシーニによって発見されました。
(執筆:2017/11/29)

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1995年11月23日木曜日

カニ星雲の偏光


カニ星雲(M1)は、比較的重い星がその生涯の最後に迎える大爆発(超新星爆発)の後に残る残骸(超新星残骸)です。カニ星雲が形成される原因となった超新星爆発が起こったのは900年も前の話ですが、現在でもなおカニ星雲は膨張し続け、なおかつ輝き続けています。カニ星雲から放射される光は大部分が「偏光」していることが知られています。光は、電場と磁場が相互に入れ替わりながら伝播していく波(電磁波)ですが、偏光が同じ光は、同じ面で振動しています。釣りやスキーをする人は、水面や雪面を見やすくするために偏光グラスを用いますが、偏光グラスは一定の方向の振動(偏光)のみ通過することができるガラスを使用しています。光は物質の表面で反射すると偏光します。また、非常に強い磁場によっても偏光は起こります。この写真のカラーは、異なる偏光の方向を表しています。天文学者は偏光イメージを詳しく解析することで、どのような物理過程によって光が放射されているのかを調べています。
(執筆:2017/11/28)

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1995年11月22日水曜日

爆発するかに星雲 M1


かに星雲(M1)は、重い星がその生涯の最後に迎える大爆発(超新星爆発)の後に残る残骸(超新星残骸)です。超新星爆発が起こると、星の外層は爆発によって激しく吹き飛ばされ、中心部分は崩壊して中性子星となります。超新星残骸の中に残る中性子星は、高速で自転しており、この自転の影響で中性子星から出る光は短い周期で点滅しています。点滅の周期は1秒間に30回にも及びます(これはつまり、中性子星が1秒間に30回転しているということです)。カニ星雲が形成される原因となった超新星爆発が起こったのは900年も前の話ですが、今でもなおカニ星雲は膨張し続け、なおかつ輝き続けています。カニ星雲がどうして輝き続けられるのか、そのメカニズムは長い間の謎でしたが、現在では中性子星の自転速度が徐々に遅くなっていることが発見されたことから、中性子星が回転する運動のエネルギーがなんらかのメカニズムで星雲の輝くエネルギーに変換されていると考えられています。
(執筆:2017/11/28)

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1995年11月21日火曜日

オリオン大星雲 M42 のモザイク画像


オリオン大星雲(M42)は、私達が知っている天体の中でも、おそらく最も興味深いものの一つでしょう。この画像は、ハッブル宇宙望遠鏡(HST)が撮影した15枚の画像を一つにつなぎ合わせたモザイク画像で、オリオン大星雲の規模の大きさと星雲が内包する物理的な多様性を示しています。オリオン大星雲の中には「トラペジウム」と呼ばれる明るい星団が埋没していることはよく知られていますが、実は星雲の中にはトラペジウム以外にも多くの生まれたばかりの星や生まれつつある星が存在しています。星雲内で星が生まれつつある領域には、濃い水素ガスや恒星ジェットなどが見られます。この写真の細部をよく見ると、あちこちにフィラメント状の構造が見られますが、これらは衝撃波によって作られます。衝撃波は、遅く移動するガスに速く移動するガスがぶつかって形成されます。画像の左下に見えるオレンジ色がかった大きな衝撃波が一番わかりやすいでしょう。オリオン大星雲は、私達の太陽が属する渦状腕と同じ渦状腕に属しており、我々の太陽系からの距離は約1500光年です。
(執筆:2017/11/28)

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1995年11月20日月曜日

球状星団 M15の中心部分


ハッブル宇宙望遠鏡(HST)によって1994年4月に撮影されたこの画像には、球状星団M15の中心部に密集する星々が写し出されています。ここに写っている星々は、おおよそ1.6光年程度の範囲の中に分布しています。星々はそれぞれ異なる色を示していますが、星の色はその温度と対応しており、青い星は温度の高い星、赤い星は温度の低い星です。M15は、銀河系の中で最も星の分布密度が高い球状星団として知られています。ハッブル宇宙望遠鏡は、非常に高い角度分解能を誇りますが、M15の星々の密集度が高いため、その分解能をもってしてもM15の星々を完全に分離して見ることは不可能です。しかし、ハッブル宇宙望遠鏡による観測では、M15の星の分布密度が、中心部に近づくにしたがって高くなっていることが明らかとなりました。このことはM15の中心部分に非常に巨大な密度を持つ天体(例えばブラックホール)が存在することを示唆しています。
(執筆:2017/11/20)

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1995年11月19日日曜日

宇宙から見たニューヨークの夜景


ニューヨークの夜景が写っているこの美しい写真は、1990年3月にスペースシャトル・エンデバー号から撮影されたものです。この写真では東が上、北が左に写っています。ニューヨークに馴染みのある方であれば、光の濃淡から写真に写っているのがニューヨークであることがすぐ分かるのではないかと思います。ハドソン川とイースト川に囲まれたマンハッタンや、マンハッタンの中に黒く浮かび上がるセントラルパークなどがハッキリと認識できます。
(執筆:2017/11/15)

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1995年11月18日土曜日

水の世界


水分子(H2O)は、地球上の生命の根源となっている大変重要な物質です。地球は、太陽系の中で唯一、水分子が「液体、個体、気体」の3つの状態で同時に存在s得る惑星です。スペースシャトルから撮影されたこの写真は、アラスカの湾岸部(ベーリング海の北部)を写したものですが、写真の中に写っている被写体は、全てが液体、個体、気体いずれかの状態の水です。地球上にいかに水が多いかが分かる写真です。
(執筆:2017/11/15)

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1995年11月17日金曜日

日はまた昇る


軌道上を周回するスペースシャトルの窓から見える日の出は、ヘミングウエイの小説「日はまた昇る」を想起させるような実に素晴らしいものです。この息を呑むような美しい写真は、対流圏の上部境界を漂う雲の向こう側に見える日の出時の太陽を捉えたものです。日の出時の太陽が放つ光は、塵を多く含む大気を通り抜けて来るので、青い光が途中で遮断され、人間の目には赤っぽい色として認識されます。写真の中に見えている赤い帯はこのような理由で色づいているのです。一方で、赤い帯の上に見える青い帯は地球大気の上層部に位置する成層圏に対応しています。成層圏では青い光が散乱されるために青く色づいて見えるのです。
(執筆:2017/11/14)

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1995年11月16日木曜日

ハッブル宇宙望遠鏡の修理


ハッブル宇宙望遠鏡(HST)の修理を行うために行われたスペースシャトルミッション(STS-61)は、それまでに行われたスペースシャトルミッションの中で最も難しいものの一つでした。この修理ミッションは、1993年12月2日に打ち上げられたスペースシャトル・エンデバー号によって行われ、宇宙飛行士はHSTの修理のために合計5回の宇宙遊泳を行いました。ミッションに参加したストーリー・マスグレイブ宇宙飛行士はHSTの修理のために8時間にも迫ろうという長時間の宇宙遊泳を行いました。この時の宇宙遊泳時間はNASA史上2番めの記録です。この写真はマスグレイブ宇宙飛行士が修理を行っているところです。修理ミッションは大成功のもとに終了し、宇宙飛行士の宇宙空間での作業能力の高さを示すとともに、HSTの寿命を大きく引き伸ばすことに成功しました。
(執筆:2017/11/14)

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1995年11月15日水曜日

ステファンの五つ子


キットピーク国立天文台(アメリカ)の2.1メートル望遠鏡で撮影されたこの写真には、狭い領域に密集した5つの銀河が見えています。この5つの銀河は「ステファンの五つ子」という名前で知られています。5つの銀河のうち4つは同じ距離にあることが赤方偏移の測定から知られています。左下に見えている青い渦巻銀河だけは他の銀河に比べて距離が近いと考えられています(他の銀河に比べてこの銀河だけ小さな赤方偏移を示します)。等距離にあると考えられている4つの銀河のうち3つは、互いの重力で影響を及ぼし合い、それぞれの形が潮汐力によって変形しています。一方で左下にある楕円銀河は、等距離にある他の3つの銀河からの影響は受けずに普通の楕円銀河として存在しています。近傍の他の銀河から潮汐作用や衝突によって影響を受けるかどうかは、銀河の進化を大きく左右します。
(執筆:2017/11/14)

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1995年11月14日火曜日

オリオン座とオーロラ


この写真は、1994年の4月にスペースシャトル・エンデバー号の乗組員が撮影した、地球軌道の南側で発生したオーロラです。オーロラは、地球の磁場の影響で、太陽風に含まれる高エネルギの電子が地球の大気と衝突することによって生じる現象です。赤いオーロラは、大気の薄い高度約320キロメートルの高空で起こります。もう少し高度が低くなるとオーロラの色は緑がかったものとなり、さらに高度が低くなるとピンク色に発光することもあります。この写真では、オーロラの背景にオリオン座が写っています。写真に写っているオリオン座の星々がやや伸びた形をしているのはスペースシャトルの軌道運動の影響です。
(執筆:2017/11/13)

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1995年11月13日月曜日

乙女座銀河団


この写真に写っているのは、我々の銀河系に最も近い銀河団である「乙女座銀河団」に属する幾つかの銀河です。おとめ座銀河団のサイズはかなり大きく、角度にして約5度もあります。これは実に満月の直径の10倍の大きさに匹敵します。おとめ座銀河団には、渦巻銀河、楕円銀河、不規則銀河など、100個を超える様々な種類の銀河が含まれています。この写真に写っている特に明るい2つの銀河はM84とM86です。写真の中央やや上に写っているのがM84で、これは楕円銀河と呼ばれる種類の銀河です。M84の右側に写っている明るい銀河がM86で、これも楕円銀河です。
(執筆:2017/11/10)

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 ソンブレロ銀河 M104
強烈なγ線を放つクエーサー
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1995年11月12日日曜日

ブルージェット


レッドスプライトの回でも触れましたが、最近「レッドスプライト」と「ブルージェット」と呼ばれる2種類の新しいタイプの雷が発見されました。この2つの雷は、普通の雷が発生する高度に比べて遥かに高い大気の高層で発生します。ブルージェットは、稲光の色が青いのでこの名前で呼ばれており、だいたい高度50キロメートルぐらいのところで発生します。ブルージェットの継続時間は約1秒ほどあるので、高速度撮影のできるビデオカメラを用いると比較的容易に現象を記録することができます。ブルージェットの稲光は細いコーン状の形状を示し、秒速約100キロメートルで大気中を移動します。レッドスプライト同様、ブルージェットの存在は早くから示唆されていましたが、実際に記録として残されたのは高速度カメラが登場して以降のことでした。この白黒写真は、1994年に、雷雲から上方に向かって走るブルージェットの稲光を捉えたものです。レッドスプライト同様、ブルージェットの発生メカニズムはまだ明らかになっていません。
(執筆:2017/11/9)

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1995年11月11日土曜日

レッドスプライト


最近、「レッドスプライト」と「ブルージエット」と呼ばれる2種類の新しいタイプの雷が発見されました。この2つの雷は大気圏の非常に高層で発生します。レッドスプライトは、雲から上方の電離層(地表からの高度約90キロメートル)に向かって走る稲妻です。レッドスプライトは、稲光の色が特徴的な赤色であることからこの名前が付いています。レッドスプライトが発生する時間はほんの一瞬です。実はかなり以前からレッドスプライトの存在は示唆されていましたが、実際に発生しているところを映像に収めることは難しく、1994年に行われた高速カメラを用いた観測でようやくその姿が明らかとなりました。現在のところ、なぜレッドスプライトが発生するのか、そのメカニズムについては十分には解明されていません。
(執筆:2017/11/8)

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スペースシャトルと稲妻
ガリレオ衛星が捕らえた地球と月
最後のアポロミッションで撮影された地球

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1995年11月10日金曜日

スペースシャトルと稲妻


「雷」という現象は、実はまだ十分に理解されている訳ではありません。雷は地球以外にも、金星、木星、土星などの大気中でその発生が確認されています。雲の中で粒子どうしが衝突することによって、雲の中に正電荷と負電荷を持った領域ができ、2つの相反する電荷を持つ領域の距離が近づく時に放電が起こる現象が雷だと考えられています。地球上では平均して毎秒100回以上の落雷が発生しています。この写真は、打ち上げ直前のスペースシャトルのごく近くに落雷した時の様子を記録したものです。落雷が発生した時は、周りに何もない平坦な場所にいると大変危険です。
(執筆:2017/11/7)

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1995年11月9日木曜日

ソンブレロ銀河 M104


ソンブレロ銀河として知られるM104は我々天の川銀河の比較的近傍にある渦巻銀河です。明るい銀河の中央に見える特徴的な黒い帯と周辺に散在する球状星団がその名前の由来となっています(ソンブレロはメキシコで広く使用されている「帽子」の名前です)。ソンブレロ銀河の中心部分からはX線が検出されることから、中心部分で何らかの高エネルギー現象が起こっていると考えられています。検出されたX線の性質を詳しく調べると、中心領域に存在する星が大変な高速度で運動していることがわかります。このことから、天文学者はソンブレロ銀河の中心部分に巨大なブラックホールが存在すると考えています。この写真は、キットピーク国立天文台の0.9メートル望遠鏡で撮影されたソンブレロ銀河の可視光(青い光)の画像です。
(執筆:2017/11/3)

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1995年11月8日水曜日

宇宙をシミュレートする


この図の立方体は、グランドチャレンジ・コスモロジーコンソーシアム(GC3)によって行われたシミュレーションの結果を表しています。この立方体のサイズは非常に巨大で、一辺の長さを横切るのに光の速度で5億年かかります(つまり、一辺5億光年)。青い部分は低密度のガス、赤い部分は高密度のガスを表しています。宇宙が生まれた瞬間は物質とガスの分布は非常に均一だったと考えられていますが、GC3のシミュレーションは宇宙が進化するとともに重力の影響で密度の高い領域が形成されていくことを示しています。このシミュレーションは、宇宙の3分の1がゆっくりと動く低温の暗黒物質、3分の2が速く動く高温の暗黒物質でできているという仮定のもとに行われましたが、シミュレーションの結果は実際の宇宙の観測結果とよく一致していることが知られています。
(執筆:2017/11/2)

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1995年11月7日火曜日

イーグル星雲で暖められているタマゴ


イーグル星雲(M16)の中に横たわるガス塊の突端に「EGG」と呼ばれる種類の星形成領域があることが知られています。EGGは「Evaporating Gaseous Globules」という英語を表す略語で、濃い分子水素ガスがこれから星になろうとしている領域です。イーグル星雲のEGGの中では既に赤ちゃん星が幾つか誕生しており、それら生まれたばかりの赤ちゃん星からでる光で、周りのガスが照らし出されています。この写真は、ハッブル宇宙望遠鏡に搭載された広視野カメラで撮影されたものです。
(執筆:2017/11/1)

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1995年11月6日月曜日

尖塔の上に輝く星々


夜空に輝く星星はどのように生まれるのでしょうか。ハッブル宇宙望遠鏡によって鷲星雲M16の一部を捉えたこの美しい写真は、我々に星の誕生の瞬間を理解するためのヒントを与えてくれています。写真の中で黒い塔の様に見えている場所には、分子水素と塵からなる濃い星間ガスが漂っています。塔の太さは差し渡し数光年ほどです。塔に含まれるガスは自己重力で収縮し、その中から星が生まれつつあります。塔の先端には生まれたばかりの星が明るく輝き、星の誕生の現場を明るく照らし出しています。

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1995年11月5日日曜日

核実験監視衛星ヴェラ


1963年10月、米空軍は核実験禁止条約に基づく監視衛星を打ち上げました。 核実験禁止条約では、締結国が地球大気内及び宇宙空間で核実験を行うことを禁止しています。このイラストに描かれている核実験監視衛星ヴェラは、宇宙空間から地上の核実験をモニターする技術を開発するための実証実験として打ち上げられました。「ヴェラ」という名前にはスペイン語で「監視する」という意味があります。結局、ヴェラが運用されている間に核実験は一度も検出されませんでしたが、その代わり、後にガンマ線バーストと呼ばれるようになった強烈なガンマ線の閃光が宇宙空間から検出されました。この発見は、その後の天文学の発展に大きな影響を与えました。

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1995年11月4日土曜日

海王星の衛星「プロテウス」


プロテウスはトリトンについで2番めに大きな海王星の衛星です。1982年にボイジャー2号探査機によって発見されました。面白いことに、プロテウスよりも小さな海王星の衛星のネレイドはプロテウスが発見される33年も前に地球からの観測で発見されています。プロテウスは表面の色が暗いことと、公転軌道が非常に海王星に近かったことなどが発見を困難なものにしていたと考えられています。プロメテウスは、質量が軽いため自己重力では球形になれず、ひしゃげた箱型の形状をしています。この写真はボイジャー2号によって撮影されたものです。

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1995年11月3日金曜日

木星の衛星「アマルティア」


アマルティアは木星の5番目に大きな衛星で、1892年にエドワード・バーナードによって発見されました。5番目に大きな衛星といっても、有名なガリレオの4大衛星(イオ、エウロパ、ガニメデ、カリスト)と比べると、かなり小さな衛星です。アマルティアの軌道はガリレオ衛星よりも内側で、軌道の長軸は常に木星の方向を向いています。表面は、イオから吹き出された硫黄の影響で黒っぽい色をしています。アマルティアの質量は、自己重力で球形になるほど大きくないので、ジャガイモのような歪な形をしています。この写真は、ボイジャー1号によって撮影されたものです。

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土星の片側のみに現れる奇妙な衛星イアペトゥス

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1995年11月2日木曜日

レッド・レクトアングル


レッド・レクトアングルと呼ばれるこの惑星状星雲は、特徴的な四角形の幾何学的な構造持っていますが、その成因は多くの謎に包まれています。星雲の中心にはおそらく連星系が存在し、その連星系が特徴的な幾何学的構造を作り出す上で重要な働きをしていると考えられています。中心の連星系は、高速の双極ジェットを吹き出しており、ジェット噴出によって中心の連星系は急速に質量を失いつつあります。また双極ジェットは、止まる寸前のコマのような歳差運動を行っていると推測されています。歳差運動しているジェットは、その外側にある分厚い円盤状の構造の内側にガスを吹き付けます。厚い円盤の内側に吹き付けられたガスが特徴的な四角形の構造を作り出していると考えられています。この星雲から放出される赤外線からは、珍しい種類の炭素含有分子が見つかっており、星雲の構造やガスの運動との関連が議論されています。

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1995年11月1日水曜日

散開星団と星間ダスト


この写真に写っているのは、M16という名前の天体です。M16は若い星からなる散開星団と、輝線を放つ発光星雲、さらに光を吸収する星間ダストから構成される天体です。M16の星は、写真中央よりも右上の場所に主に分布しています。散開星団は、通常は数百個程度の若い星から構成される星団です。星団の周囲に見られる発光星雲は、電子が水素原子の原子核と再結合するときに放射される光(輝線)によって輝いています。一方、黒く見える領域は、星間ダストが背景の光を吸収することによって形成されています。星間ダストによる吸収度合いを詳しく調べることによって、どの星が星間ダストの中に埋もれた星で、どの星が前景にある星かを知ることができます。この写真はアングロオーストラリアン望遠鏡によって撮影されました。

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