1995年10月31日火曜日

伝説のハロウィーンとなった火星人侵略事件


オーソン・ウェルズは、1938年のハロウィーンに、H.G.ウェルズの「宇宙戦争」をラジオドラマで演じたことで一躍有名になりました。 「宇宙戦争」は、火星人が地球に攻めてくるストーリーですが、ウェルズのラジオドラマでの演技があまりにリアルだったので、ドラマではなく本当に火星人が地球に攻めてきたと思い込んだリスナーたちがパニックを起こしたそうです。ドラマでは、火星が地球に大接近している設定となっていました。このハッブル宇宙望遠鏡で撮影された火星の写真は、火星が地球から約1億キロメートルの距離に「大接近」したときに撮影されたものです。火星人にとっては、火星が地球に大接近している時が地球に攻め込みやすい時期なのかもしれませんが、天文学者にとっては、火星の大接近は火星の様子を詳しく観察するための絶好のチャンスです。この写真では、北極を覆う氷や、白い雲(火星部分左端)などが鮮明に写し出されています。火星表面上の黒く見えている部分は、チリが強い風によって巻き上げられている場所です。

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1995年10月30日月曜日

ヘール・ボップ彗星の最新の姿


ヘール・ボップ彗星は1997年初めに今世紀最も明るい彗星となるのでしょうか? 今年7月に発見されて以来、ヘール・ボップ彗星は多くの憶測を引き起こしました。 現時点ではまだ木星軌道よりも外側に位置していますが、それでもなお非常に明るく、太陽に向かって進むに連れてさらに明るくなることが予想されます。 このハッブル宇宙望遠鏡による最新の画像では、彗星中心の氷の核(写真中央やや右下)の、蒸発と回転によって放出されたクランプ(写真中央やや上)が鮮明に写し出されています。 天文学者は、ハッブル宇宙望遠鏡のデータを用いて、ハレボップ彗星が本当に巨大な彗星で、予想通り非常に明るくなるのか、それとも太陽に近づくにつれて予想よりも早く蒸発して消えてしまうのかを見極めようとしています。

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1995年10月29日日曜日

天の川の中に見られる放射性の星間雲


重い星がその一生の最後に超新星爆発を起こすと、星間空間に広がっていく大きな放射性の爆風の雲が形成されます。雲の中に含まれる放射性元素が崩壊するとγ線が発生します。 この写真は、コンプトンγ線天文台によって撮影されたγ線写真です。この写真の撮影には、放射性アルミニウムの崩壊から放出されるγ線に対して高い感度を持つ検出器が用いられました。写真の中で明るく写っている部分が超新星爆発が起こった場所に対応します。

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1995年10月28日土曜日

再利用可能ロケットDC-X


従来のロケット打ち上げ技術では、多段式のロケットを数回に渡って切り離しながら軌道に到達していました。このイラストに描かれているロケットは、多段式ではなく、打ち上げ時の形態のまま軌道に到達し、さらにそのまま戻ってくる事ができる、完全再利用可能型のロケット「DC-X」です。DC-Xは現時点ではまだ実験機で、機体の重量が重すぎるため、実際に軌道に打ち上げて帰還させることはできません。しかし、1993年8月の実験開始以降、通常のロケットと同様の打ち上げ、空中でのホバーリング、機首を上に向けた状態での垂直着陸などに成功しています。将来的に完全再利用できるロケットが実用化できれば、宇宙開発費用の劇的なコストダウンにつながるものと期待されています。

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1995年10月27日金曜日

タランチュラ星雲と超新星1987A


この大マゼラン雲のクローズアップ写真の左側には、「蜘蛛」の様な形状の星雲が写っています。この星雲は毒蜘蛛のタランチュラになぞらえて「タランチュラ星雲」と呼ばれています。タランチュラ星雲の中には、30 Doradusと呼ばれる若くて高温の星の集団が存在します。30 Doradusに含まれている星々は、宇宙の中で最も重い部類の星で、それぞれの星が太陽の約50倍の質量を持つと考えられています。このような太陽の50倍もの質量を持つ重い星は、太陽の100倍もの巨大なエネルギーを放出していると考えられています。右下に写っている明る星は超新星「SN1987A」です(正確には爆発した後なので超新星の残骸です)。30 Doradusに含まれる重い星々も、いずれは「SN1987A」と同様に超新星爆発を起こして星としての寿命を終える運命にあります。重い星は自らの重さを支えるために大量の燃料が必要です。したがって、太陽が数十億年も燃焼し続けるのに対して、30 Doradusの星たちの寿命は数百万年程度だと考えられています。大質量の星は超新星爆発を起こしてその一生を終え、その後には中性子星やブラックホールが残ると考えられています。

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1995年10月26日木曜日

スペースシャトルエンデバーから見たオーロラ


スペースシャトルエンデバーは、1994年10月に、高度約213キロメートルの位置で上下逆さまの状態で飛行し、背面に取り付けられたカメラで見事な南半球のオーロラを撮影しました。オーロラは太陽から放出される高エネルギーの粒子によって引き起こされる現象で、南極及び北極近辺に出現します。オーロラの高さは最も高い位置で高度約320キロメートルにも達します。オーロラは極地方に現れるため、地上から見るためには高緯度地方に行く必要があります。オーロラの繊細な色は、高エネルギーの電子が酸素原子や窒素原子と衝突することによって生じます。この写真では、前景にスペースシャトルの後部構造が写っています。地球に向かって突き出しているのが垂直尾翼です。 背面に星が写っていますが、シャッターを開けている間に星が動いたことにより、星が点ではなく小さな光跡を描いて写っている様子が見て取れます。

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1995年10月25日水曜日

高エネルギー中性子が描き出すアート作品



太陽表面では時としてフレアと呼ばれる高エネルギー現象が発生します。フレアが発生すると、高エネンルギーの原子や素粒子が宇宙空間へと放出されます。1991年6月15日に、非常に強力なフレアが体表表面で発生し、大量の中性子がフレアによって宇宙空間へと放出されました。この写真は、NASAのコンプトンγ線宇宙望遠鏡に搭載されたCOMPTELという検出器が、フレアによって宇宙空間へと放出された中性子を検出したことを示す画像です(カラーは人工的に着色されたものです)。スプレーを吹き付けたように検出器上で広がった形が見えています。高エネルギー粒子の観測では、可視光線での観測とは全く違った世界を垣間見ることができます。高エネルギー中性子によって作られたこの画像もその1例です。フレアによって太陽から噴出される高エネルギー粒子は、地球環境に大きな影響を与えるため、太陽活動は常時注意深くモニターされています。

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1995年10月24日火曜日

1991年7月11日に起こった皆既日食


この写真は、1991年7月11日に、中東から、中国南部、太平洋南部のマーシャル諸島近辺にかけて発生した皆既日食の様子を写したものです。異なる露出時間の写真を合成することによって、淡い構造まで映し出されています。皆既日食は比較的狭い『皆既日食帯』の中にいなければ見ることができません。皆既日食帯の外では皆既日食は見られませんが、近辺にいれば部分日食を見ることができます。

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太陽のプロミネンス
太陽が放射するX線
太陽に最も近い惑星、水星

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1995年10月23日月曜日

強烈なγ線を放つクエーサー


γ線は波長が短い電磁波で、γ線光子1つのエネルギーは、可視光線の光子1つのエネルギーの1万倍もあります。もし肉眼でガンマ線を見ることができたとしたら、夜空の様子は全く違うように見えるでしょう。このγ線写真の中央に明るく写っている天体は、3C279という名前のクエーサーです。3C279は可視光線で見ると普通の暗い星のように見えますが、γ線で見ると非常に明るい天体です。特に、1991年6月にNASAのコンプトンγ線宇宙望遠鏡が3C279を観測した時には、全天で最も明るいγ線源として輝いており研究者を驚かせました。更に興味深いことに、γ線で非常に明るかった3C279は、その後まもなく暗くなってしまったのです。この突然の減光の理由は未だに謎のままです。ちなみに、このγ線写真の中には、明るい3C279の斜め右上に、別のクエーサー(3C273)が写っています。

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1995年10月22日日曜日

クエーサーと銀河の衝突?


1963年のこと、それまで近傍の恒星だと思われていた天体の赤方変位が極めて大きな大きな値であることが明らかとなり、天文学者を驚かせました。赤方変位が極めて大きいということは、その天体が非常に遠方に存在することを意味します。1963年の発見以降も、同種の天体が多数見つかり、今日ではこのような天体をクエーサー(準恒星状天体)と呼んでいます。クエーサーは、観測できる宇宙のなかで最も遠くに存在する天体であり、クエーサーの中心に存在する巨大ブラックホールがエネルギー源となって莫大なエネルギーを放出していると考えられています。このハッブル宇宙望遠鏡によって撮影された写真に写っているのはPKS2349と呼ばれるクエーサーです。非常に興味深いことに、恒星のように見えるクエーサーの核が、核の周りに広がった星雲の中心からずれているように見えます。現在提唱されている説では、天文学者の解析では、クエーサーと通常の銀河が衝突合体した結果、このような状況になったのではないかと解釈されています。しかし、この解釈が正しいとすると、クエーサーと通常の銀河が同時代に存在することになり、これまでの天文学の常識をくつがえすことになります。

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1995年10月21日土曜日

近赤外写真で垣間見るタイタンの表面


土星最大の衛星タイタンの表面は厚い大気に覆われているため、可視光での観察では表面の様子を知ることはできません。しかし可視光よりも波長の長い近赤外線で観測すると、可視光での観測に比べてかなり明確に表面の様子を知ることができます。この写真はハッブル宇宙望遠鏡に搭載された近赤外カメラで撮影されたタイタンの様子です。近赤外線で明るく輝いている部分(写真の中で白く見えている部分)は差し渡し4000キロメートルほどもある巨大な構造です(地球で言うと、オーストラリア大陸の大きさに匹敵します)。ハッブル宇宙望遠鏡による赤外写真は、1997年に行われたカッシーニ計画でタイタンの直接探査を計画する上で重要な指針となりました。

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1995年10月20日金曜日

小惑星ガスパラのベストショット


これは、1991年10月29日に、木星の探査に向けて飛行中のガリレオ探査機から撮影された小惑星 ガスパラの写真です。この写真にはガスパラ表面の構造が分かりやすいように、強調したカラーが付けられています。ガスパラの大きさは最大長でおおよそ18キロメートル程です。ガリレオ探査機は、ガスパラとの遭遇の約4年後、1995年12月に木星に到着し、木星の大気を史上初めて直接探査しました。

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1995年10月19日木曜日

球状星団 M5


球状星団M5は10万個もの恒星が寄り集まった星の大集団です。球状星団の星は、星団の重心の周りを軌道運動しており、球状星団そのものも銀河系中心の周りを軌道運動していることが知られています。銀河系の周りに、これまでに160個ほどの球状星団が知られています。これらの球状星団は、銀河系中心を対称点としてほぼ球形に分布しています。地球から見ると球状星団の分布は一様ではありませんが、これは地球が銀河系の中心から離れた場所にあることを意味しています。球状星団を構成する星は、古い星が多いことが知られています。球状星団の星の年齢はかなり直接的な方法で計測することができ、これまで行われた計測によって最も古い星で、140億歳程度の年齢であることがわかっています。この事実によって、宇宙の年齢は少なくとも140億年以上であることとなり、球状星団の年齢が宇宙の歴史を探る上で重要なヒントにもなっています。

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1995年10月18日水曜日

土星の嵐


土星は太陽系で2番目に大きな惑星で、特徴的なリングを伴っていることで有名です。この写真は1994年にハッブル宇宙望遠鏡によって撮影されました。異なる波長で撮影された写真を合成することで、カラーを作り出しています。土星の表面(中心近く)に白い模様が見えていますが、これは土星大気の中で発達した嵐(台風)です。土星大気の主な成分は水素とヘリウムですが、白く見えている嵐の部分にはアンモニアの氷の結晶が舞い上がっています。嵐の大きさは写真では小さく見えますが、実際の大きさは地球の直径ほどもあります。

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1995年10月17日火曜日

銀河面に埋没した銀河、ドゥインゲル―1


上の写真を良く眺めると、大量の星の中に渦巻銀河が写っているのがわかると思います。このドゥインゲル―1という名前の銀河は、比較的近傍にあるにも関わらず、前景にある我々の銀河系の星やガスに埋没しているため、比較的最近まで見過ごされていました(1994年に発見)。上の写真に写っている星々は、全て天の川銀河の星です。ドゥインゲル―1までの距離は、おとなりのアンドロメダ銀河M31までの距離の、およそ5倍程度だろうと考えられています。

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1995年10月16日月曜日

スターバースト銀河 M94


渦巻銀河M94は紫外線の波長域で特徴的なリング構造が見えることで知られています。紫外線でリング状に見える場所には、生まれたばかりの若い星が大量に存在しています。若い星が大量に生まれていることから、この銀河はスターバースト銀河というカテゴリーに区分されます。このようなリング状の星形成領域は、密度波が通過するときに作り出されていると考えられています。この紫外線写真は1995年にNASAのアストロ2計画で打ち上げられた紫外線イメージ望遠鏡によって撮影されました。

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大マゼラン雲中の星形成領域 N51ボック・グロビュールのシルエット
M101の紫外線画像
渦巻き銀河 M83

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1995年10月15日日曜日

土星の片側のみに現れる奇妙な衛星イアペトゥス


イアペトゥスは、タイタン、イオに次いで土星の衛星の中で3番めに大きな衛星で、主な構成成分は氷だと考えられています。イアペトゥスの最大の特徴は、半分が暗く半分が明るく輝くという極端に偏った表面輝度分布を持っていることです。この奇妙な表面輝度分布のため、初めてイアペトゥスを発見したカッシーニは、イアペトゥスを土星の片側のみに現れる奇妙な衛星と考えました。どうしてこのような極端に偏った輝度分布が形成されるかについては、未だに定まった説明は存在しません。

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1995年10月14日土曜日

土星の衛星レア


レアは土星の衛星の中でタイタンに次いで2番めに大きな衛星です。タイタンには大気が存在するので、大気の存在しない衛星としてはレアが土星の衛星の中で最大ということになります。レアの成分は主に氷ですが中心部分には岩石からなる小さな芯が存在すると考えられています。レアは地球の月のように、自転周期と公転周期が一致しているため、土星に常に同じ面を向けています。したがって、公転運動において、レアは進行方向にいつも同じ面を向けています。興味深いことに進行方向に当たる面には進行方向に対して逆側の面に比べてより多くのクレーターが存在することが知られています。この写真は1980年にボイジャー1号によって撮影されました。

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1995年10月13日金曜日

木星と衛星イオのツーショット


木星は太陽系最大の惑星です。上の写真は木星と衛星イオのツーショットです(イオは画面の右端に小さく写っています)。イオはガリレオが発見した4つの衛星(ガリレオ衛星)のうち一番木星に近い軌道を周っています。木星の表面に黒い小さな丸い影が写っていますが(画面左端、中央よりやや上)、これは木星最大の衛星ガニメデの影です。木星の表面には木星の雲が作り出す特徴的な縞模様が見えています。木星の雲の成分は主に水素とヘリウムですが多彩な色彩は水素とヘリウムの中に僅かに混じっている重元素や有機物によって作り出されていると考えられています。

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1995年10月12日木曜日

若い天体が放つ激しい宇宙ジェット


写真左端に白い星雲が写っていますがこの星雲中に存在する若い星から画面右に向かって激しいジェットが吹き出されています。星そのものは星雲に隠されており写真には写っていません。このジェット天体には HH-47という名前が付けられています。ジェットは秒速300キロメートルにも及ぶ超高速で噴出されていますが、実際にはジェットの大きさが数兆キロメートルにも及ぶ巨大なものであるため、望遠鏡で観察してもジェットはあたかも停止しているかのように見えます。

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1995年10月11日水曜日

大マゼラン雲中の星形成領域 N51ボック・グロビュールのシルエット


これは大マゼラン星雲中に存在する N51と呼ばれる星形成領域の紫外線写真です。写真に写っている星は生まれて間もない大質量の星で、主に波長の短い青い光や紫外線で輝いています。星の年齢は数百万年程度で、太陽の年齢が約46億年であることを考えると非常に若いことが理解できると思います。この写真は1995年にNASAの紫外線イメージング望遠鏡によって撮影されました。

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1995年10月10日火曜日

ディオネと同一軌道上を周回する衛星 ヘレーネ


土星の衛星ヘレーネは、同じく土星の衛星であるディオネとほぼ同一の軌道上を周回している面白い衛星です。ヘレーネは、ラグランジュ点と呼ばれる重力的に安定な場所に位置しています。ヘレーネは1980年にピエール・ラキューズとジャン・レカシューによって地上からの観測によって発見されました。この写真は1981年にボイジャー2号が土星を通過するときに撮影されたものです。

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1995年10月9日月曜日

土星の第4衛星 ディオネ


ディオネは1684年にジョヴァンニ・カッシーニによって発見された土星の衛星で、表面に筋状に伸びた明るい構造が見られることで知られています。上の写真で白く写っていいる部分が有名な筋状構造です。この筋状構造はクレーターをかき消すように存在していることからクレーターが形成された時期よりも後に形成されたと考えられています。ディオネの表面は氷で覆われていますが、比較的平均密度が大きいことから内部には相当量の岩石も存在すると推定されています。ディオネが土星の周りを公転している軌道上には面白いことにもう一つヘレーネという名前の別の衛星が存在しています。

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1995年10月8日日曜日

アポロ12号の月着陸ミッション


アポロ11号に引き続きアポロ12号も月面への有人着陸に成功しました。アポロ12号ミッションでは、アポロ12号の月面着陸の3年前に月面に送り込まれた無人探査機、サーベイヤー3号の近くが着陸地点として選ばれました。この写真はアポロ12号のコンラッド飛行士とビーン飛行士がサーベイヤー3号から部品を回収している様子を写したものです。月着陸船も写真の中に小さく写っています。アポロ12号は、多数の写真を撮影し、多くの月の岩石を持ち帰りました。アポロ12号は、太陽風の観察などを始めとして、月面で多くの科学的実験や観察を行いました。

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1995年10月7日土曜日

月面へと降下していくアポロ12号の月着陸船


アポロ11号による歴史的な月面着陸の数カ月後、アポロ12号による月着陸ミッションが行われました。アポロ12号で月に向かった宇宙飛行士は、船長のチャールズ・コンラッドJr、司令船パイロットのリチャーと・ゴーダン、月着陸船パイロットのアラン・ビーンの3人でした。アポロ12号ミッションでは、アポロ11号の時よりもより詳しい科学的な調査が行われました。この写真はリチャード・ゴードンによって司令船から撮影された今まさに月面へと降下していく最中の月着陸船の様子です。アポロ12号ミッションでは、多数の地質学的サンプルが収集されたほか、多くの科学的実験も月面で行われました。

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1995年10月6日金曜日

ボック・グロビュールのシルエット


この写真には赤い星雲を背景に黒い斑点状の領域が見ています。この黒い斑点状の領域はボック・グロビュールと呼ばれるガスとダストからできた星間雲です。ボック・グロビュールという名前はこの種類の天体を熱心に研究した天文学者 バート・ボックにちなんだものです。ボック・グロビュールは可視光線では輝いていないため、可視光の写真には通常は写りません。この写真のボック・グロビュールはIC2499という名前のHII領域の全景に位置しており、HII領域が自ら輝いているためにシルエットとしてその存在を知ることができます。

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1995年10月5日木曜日

破裂した彗星状グロビュール、CG4


写真中央右寄りに写っている奇妙な形の天体は、彗星状グロビュールと呼ばれる天体です。彗星状グロビュールは、彗星のように尾を引いた球体状の星間ガス塊です。彗星状と言ってもほうき星の彗星とは素性が大きく異なり、彗星状グロビュールは星間空間に浮かんだガスの塊で、星が生まれつつある現場(星形成領域)としても知られています。この写真に写っているCG4という名前の彗星状グロビュールは頭部に当たる部分が破裂したような形をしているのが特徴です。このような形態となる理由は今のところ明らかとなっていません。(写真の左端に見えている広がった天体は系外銀河で彗星状グロビュールとは無関係です。)

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1995年10月4日水曜日

太陽が放射するX線


X線が太陽の外層から検出されたことは当時大変な驚きを持って研究者に受け止められました。X線は、通常、数百万度以上の超高温ガスからのみ検出されます。太陽は高温な天体ではありますが(光球の温度は6000度程度)、まさか数百万度にも達する高温の領域が太陽大気内に存在するとは研究者のほとんどは全く予想だにしていませんでした。この太陽のX線写真は、太陽活動が活発だった1992年8月に撮影されたものです。光球の円内にX線で非常に明るく輝いているスポット状の構造がいくつか綺麗に見えています。さらに光球の外側に、太陽を包み込むように広がったX線放射領域が見られます。この広がった領域はX線コロナと呼ばれており、未だにその発生メカニズムは明らかになっていません。

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1995年10月3日火曜日

火星の小さな月、ダイモス


火星の周りには、フォボスとダイモスという2つの小さな月が周っています。この写真に写っているのは小さい方のダイモスです。ダイモスはフォボスよりも小さいというだけでなく、太陽系の惑星を周る月の中でも最も小さく、大きさは差し渡し1.4キロメートルあまりしかありません。フォボスとダイモスは、1877年にアメリカ海軍天文台の天文学者、アサフ・ホールによって発見されました。火星に月が存在すること自体は、1610年にヨハネス・ケプラーによって予測されていました。ケプラーの予測は現代の知識から判断すると必ずしも科学的とはいえないものでしたが、後世の科学や文化に影響を与えました。例えば、火星の2つの月は、1726年にジョナサン・スウィフトによって著された「ガリバー旅行記」にも登場します。これは、実際にフォボスとダイモスが発見される150年も前の話です。

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1995年10月2日月曜日

消え行く運命にある火星の月、フォボス


火星には、ギリシャ神話にちなんでフォボスとダイモスと名付けられた2つの小さな月が付随しています。フォボスとダイモスは、何らかの理由で火星の重力圏に捕まった小惑星ではないかと考えられています。捕まった小惑星の起源としては、火星と木星の間の小惑星帯(アステロイドベルト)から飛来したという説と、さらに遠方から飛来した小惑星だとする説が存在します。 1977年にバイキング探査機によって撮影された写真(上)に映しだされたフォボスの形態は、小惑星帯に属する小惑星の形態に酷似しているものでした。フォボスの大きさはおおよそ27キロメートルほどで、火星の周りを8時間ほどで周回しています。フォボスは火星の表面から約5800km程度の近接した軌道を軌道運動していますが、この軌道は長期的には不安定であり、1億年程度以内に火星の表面に衝突するか、潮汐力によって粉々になり、土星のリングのように火星の周りにリングとなって漂うのではないかと推測されています。

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1995年10月1日日曜日

爆発的星形成の現場


この写真は、NGC253という、爆発的に星が形成されている銀河の中心部分です。この写真に写っている領域では星間ガスが濃くなっており、濃いガスの中で今現在も星が大量に形成されています。NGC253のように爆発的に星が形成されている銀河のことをスターバースト銀河と呼んでいます。星が形成されている領域では、生まれたばかりの星の光が星間ガスで反射され、色彩的に多彩な情景が見られれます。

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