火星の周りには、フォボスとダイモスという2つの小さな月が周っています。この写真に写っているのは小さい方のダイモスです。ダイモスはフォボスよりも小さいというだけでなく、太陽系の惑星を周る月の中でも最も小さく、大きさは差し渡し1.4キロメートルあまりしかありません。フォボスとダイモスは、1877年にアメリカ海軍天文台の天文学者、アサフ・ホールによって発見されました。火星に月が存在すること自体は、1610年にヨハネス・ケプラーによって予測されていました。ケプラーの予測は現代の知識から判断すると必ずしも科学的とはいえないものでしたが、後世の科学や文化に影響を与えました。例えば、火星の2つの月は、1726年にジョナサン・スウィフトによって著された「ガリバー旅行記」にも登場します。これは、実際にフォボスとダイモスが発見される150年も前の話です。