オーソン・ウェルズは、1938年のハロウィーンに、H.G.ウェルズの「宇宙戦争」をラジオドラマで演じたことで一躍有名になりました。 「宇宙戦争」は、火星人が地球に攻めてくるストーリーですが、ウェルズのラジオドラマでの演技があまりにリアルだったので、ドラマではなく本当に火星人が地球に攻めてきたと思い込んだリスナーたちがパニックを起こしたそうです。ドラマでは、火星が地球に大接近している設定となっていました。このハッブル宇宙望遠鏡で撮影された火星の写真は、火星が地球から約1億キロメートルの距離に「大接近」したときに撮影されたものです。火星人にとっては、火星が地球に大接近している時が地球に攻め込みやすい時期なのかもしれませんが、天文学者にとっては、火星の大接近は火星の様子を詳しく観察するための絶好のチャンスです。この写真では、北極を覆う氷や、白い雲(火星部分左端)などが鮮明に写し出されています。火星表面上の黒く見えている部分は、チリが強い風によって巻き上げられている場所です。
NASAが毎日更新している Astronomy Picture of the Day (APOD) に簡単な日本語の解説を加えて紹介しているAPODのファンページです。1995年6月の本家サイト運営開始日に遡って「古い写真から順番に」紹介していますので最新のAPODとは少し違った楽しみ方ができると思います。随時更新。オリジナルページは、こちら⇛http://apod.nasa.gov/apod/astropix.html
1995年10月31日火曜日
伝説のハロウィーンとなった火星人侵略事件
オーソン・ウェルズは、1938年のハロウィーンに、H.G.ウェルズの「宇宙戦争」をラジオドラマで演じたことで一躍有名になりました。 「宇宙戦争」は、火星人が地球に攻めてくるストーリーですが、ウェルズのラジオドラマでの演技があまりにリアルだったので、ドラマではなく本当に火星人が地球に攻めてきたと思い込んだリスナーたちがパニックを起こしたそうです。ドラマでは、火星が地球に大接近している設定となっていました。このハッブル宇宙望遠鏡で撮影された火星の写真は、火星が地球から約1億キロメートルの距離に「大接近」したときに撮影されたものです。火星人にとっては、火星が地球に大接近している時が地球に攻め込みやすい時期なのかもしれませんが、天文学者にとっては、火星の大接近は火星の様子を詳しく観察するための絶好のチャンスです。この写真では、北極を覆う氷や、白い雲(火星部分左端)などが鮮明に写し出されています。火星表面上の黒く見えている部分は、チリが強い風によって巻き上げられている場所です。
1995年10月30日月曜日
ヘール・ボップ彗星の最新の姿
ヘール・ボップ彗星は1997年初めに今世紀最も明るい彗星となるのでしょうか? 今年7月に発見されて以来、ヘール・ボップ彗星は多くの憶測を引き起こしました。 現時点ではまだ木星軌道よりも外側に位置していますが、それでもなお非常に明るく、太陽に向かって進むに連れてさらに明るくなることが予想されます。 このハッブル宇宙望遠鏡による最新の画像では、彗星中心の氷の核(写真中央やや右下)の、蒸発と回転によって放出されたクランプ(写真中央やや上)が鮮明に写し出されています。 天文学者は、ハッブル宇宙望遠鏡のデータを用いて、ハレボップ彗星が本当に巨大な彗星で、予想通り非常に明るくなるのか、それとも太陽に近づくにつれて予想よりも早く蒸発して消えてしまうのかを見極めようとしています。
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1995年10月29日日曜日
天の川の中に見られる放射性の星間雲
重い星がその一生の最後に超新星爆発を起こすと、星間空間に広がっていく大きな放射性の爆風の雲が形成されます。雲の中に含まれる放射性元素が崩壊するとγ線が発生します。 この写真は、コンプトンγ線天文台によって撮影されたγ線写真です。この写真の撮影には、放射性アルミニウムの崩壊から放出されるγ線に対して高い感度を持つ検出器が用いられました。写真の中で明るく写っている部分が超新星爆発が起こった場所に対応します。
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1995年10月28日土曜日
再利用可能ロケットDC-X
従来のロケット打ち上げ技術では、多段式のロケットを数回に渡って切り離しながら軌道に到達していました。このイラストに描かれているロケットは、多段式ではなく、打ち上げ時の形態のまま軌道に到達し、さらにそのまま戻ってくる事ができる、完全再利用可能型のロケット「DC-X」です。DC-Xは現時点ではまだ実験機で、機体の重量が重すぎるため、実際に軌道に打ち上げて帰還させることはできません。しかし、1993年8月の実験開始以降、通常のロケットと同様の打ち上げ、空中でのホバーリング、機首を上に向けた状態での垂直着陸などに成功しています。将来的に完全再利用できるロケットが実用化できれば、宇宙開発費用の劇的なコストダウンにつながるものと期待されています。
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1995年10月27日金曜日
タランチュラ星雲と超新星1987A
この大マゼラン雲のクローズアップ写真の左側には、「蜘蛛」の様な形状の星雲が写っています。この星雲は毒蜘蛛のタランチュラになぞらえて「タランチュラ星雲」と呼ばれています。タランチュラ星雲の中には、30 Doradusと呼ばれる若くて高温の星の集団が存在します。30 Doradusに含まれている星々は、宇宙の中で最も重い部類の星で、それぞれの星が太陽の約50倍の質量を持つと考えられています。このような太陽の50倍もの質量を持つ重い星は、太陽の100倍もの巨大なエネルギーを放出していると考えられています。右下に写っている明る星は超新星「SN1987A」です(正確には爆発した後なので超新星の残骸です)。30 Doradusに含まれる重い星々も、いずれは「SN1987A」と同様に超新星爆発を起こして星としての寿命を終える運命にあります。重い星は自らの重さを支えるために大量の燃料が必要です。したがって、太陽が数十億年も燃焼し続けるのに対して、30 Doradusの星たちの寿命は数百万年程度だと考えられています。大質量の星は超新星爆発を起こしてその一生を終え、その後には中性子星やブラックホールが残ると考えられています。
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1995年10月26日木曜日
スペースシャトルエンデバーから見たオーロラ
スペースシャトルエンデバーは、1994年10月に、高度約213キロメートルの位置で上下逆さまの状態で飛行し、背面に取り付けられたカメラで見事な南半球のオーロラを撮影しました。オーロラは太陽から放出される高エネルギーの粒子によって引き起こされる現象で、南極及び北極近辺に出現します。オーロラの高さは最も高い位置で高度約320キロメートルにも達します。オーロラは極地方に現れるため、地上から見るためには高緯度地方に行く必要があります。オーロラの繊細な色は、高エネルギーの電子が酸素原子や窒素原子と衝突することによって生じます。この写真では、前景にスペースシャトルの後部構造が写っています。地球に向かって突き出しているのが垂直尾翼です。 背面に星が写っていますが、シャッターを開けている間に星が動いたことにより、星が点ではなく小さな光跡を描いて写っている様子が見て取れます。
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1995年10月25日水曜日
高エネルギー中性子が描き出すアート作品
太陽表面では時としてフレアと呼ばれる高エネルギー現象が発生します。フレアが発生すると、高エネンルギーの原子や素粒子が宇宙空間へと放出されます。1991年6月15日に、非常に強力なフレアが体表表面で発生し、大量の中性子がフレアによって宇宙空間へと放出されました。この写真は、NASAのコンプトンγ線宇宙望遠鏡に搭載されたCOMPTELという検出器が、フレアによって宇宙空間へと放出された中性子を検出したことを示す画像です(カラーは人工的に着色されたものです)。スプレーを吹き付けたように検出器上で広がった形が見えています。高エネルギー粒子の観測では、可視光線での観測とは全く違った世界を垣間見ることができます。高エネルギー中性子によって作られたこの画像もその1例です。フレアによって太陽から噴出される高エネルギー粒子は、地球環境に大きな影響を与えるため、太陽活動は常時注意深くモニターされています。
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