1995年11月7日火曜日

イーグル星雲で暖められているタマゴ


イーグル星雲(M16)の中に横たわるガス塊の突端に「EGG」と呼ばれる種類の星形成領域があることが知られています。EGGは「Evaporating Gaseous Globules」という英語を表す略語で、濃い分子水素ガスがこれから星になろうとしている領域です。イーグル星雲のEGGの中では既に赤ちゃん星が幾つか誕生しており、それら生まれたばかりの赤ちゃん星からでる光で、周りのガスが照らし出されています。この写真は、ハッブル宇宙望遠鏡に搭載された広視野カメラで撮影されたものです。
(執筆:2017/11/1)

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1995年11月6日月曜日

尖塔の上に輝く星々


夜空に輝く星星はどのように生まれるのでしょうか。ハッブル宇宙望遠鏡によって鷲星雲M16の一部を捉えたこの美しい写真は、我々に星の誕生の瞬間を理解するためのヒントを与えてくれています。写真の中で黒い塔の様に見えている場所には、分子水素と塵からなる濃い星間ガスが漂っています。塔の太さは差し渡し数光年ほどです。塔に含まれるガスは自己重力で収縮し、その中から星が生まれつつあります。塔の先端には生まれたばかりの星が明るく輝き、星の誕生の現場を明るく照らし出しています。

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1995年11月5日日曜日

核実験監視衛星ヴェラ


1963年10月、米空軍は核実験禁止条約に基づく監視衛星を打ち上げました。 核実験禁止条約では、締結国が地球大気内及び宇宙空間で核実験を行うことを禁止しています。このイラストに描かれている核実験監視衛星ヴェラは、宇宙空間から地上の核実験をモニターする技術を開発するための実証実験として打ち上げられました。「ヴェラ」という名前にはスペイン語で「監視する」という意味があります。結局、ヴェラが運用されている間に核実験は一度も検出されませんでしたが、その代わり、後にガンマ線バーストと呼ばれるようになった強烈なガンマ線の閃光が宇宙空間から検出されました。この発見は、その後の天文学の発展に大きな影響を与えました。

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1995年11月4日土曜日

海王星の衛星「プロテウス」


プロテウスはトリトンについで2番めに大きな海王星の衛星です。1982年にボイジャー2号探査機によって発見されました。面白いことに、プロテウスよりも小さな海王星の衛星のネレイドはプロテウスが発見される33年も前に地球からの観測で発見されています。プロテウスは表面の色が暗いことと、公転軌道が非常に海王星に近かったことなどが発見を困難なものにしていたと考えられています。プロメテウスは、質量が軽いため自己重力では球形になれず、ひしゃげた箱型の形状をしています。この写真はボイジャー2号によって撮影されたものです。

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1995年11月3日金曜日

木星の衛星「アマルティア」


アマルティアは木星の5番目に大きな衛星で、1892年にエドワード・バーナードによって発見されました。5番目に大きな衛星といっても、有名なガリレオの4大衛星(イオ、エウロパ、ガニメデ、カリスト)と比べると、かなり小さな衛星です。アマルティアの軌道はガリレオ衛星よりも内側で、軌道の長軸は常に木星の方向を向いています。表面は、イオから吹き出された硫黄の影響で黒っぽい色をしています。アマルティアの質量は、自己重力で球形になるほど大きくないので、ジャガイモのような歪な形をしています。この写真は、ボイジャー1号によって撮影されたものです。

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土星の片側のみに現れる奇妙な衛星イアペトゥス

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1995年11月2日木曜日

レッド・レクトアングル


レッド・レクトアングルと呼ばれるこの惑星状星雲は、特徴的な四角形の幾何学的な構造持っていますが、その成因は多くの謎に包まれています。星雲の中心にはおそらく連星系が存在し、その連星系が特徴的な幾何学的構造を作り出す上で重要な働きをしていると考えられています。中心の連星系は、高速の双極ジェットを吹き出しており、ジェット噴出によって中心の連星系は急速に質量を失いつつあります。また双極ジェットは、止まる寸前のコマのような歳差運動を行っていると推測されています。歳差運動しているジェットは、その外側にある分厚い円盤状の構造の内側にガスを吹き付けます。厚い円盤の内側に吹き付けられたガスが特徴的な四角形の構造を作り出していると考えられています。この星雲から放出される赤外線からは、珍しい種類の炭素含有分子が見つかっており、星雲の構造やガスの運動との関連が議論されています。

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1995年11月1日水曜日

散開星団と星間ダスト


この写真に写っているのは、M16という名前の天体です。M16は若い星からなる散開星団と、輝線を放つ発光星雲、さらに光を吸収する星間ダストから構成される天体です。M16の星は、写真中央よりも右上の場所に主に分布しています。散開星団は、通常は数百個程度の若い星から構成される星団です。星団の周囲に見られる発光星雲は、電子が水素原子の原子核と再結合するときに放射される光(輝線)によって輝いています。一方、黒く見える領域は、星間ダストが背景の光を吸収することによって形成されています。星間ダストによる吸収度合いを詳しく調べることによって、どの星が星間ダストの中に埋もれた星で、どの星が前景にある星かを知ることができます。この写真はアングロオーストラリアン望遠鏡によって撮影されました。

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