1996年2月8日木曜日

砂時計星雲の非対称性


上の写真はハッブル宇宙望遠鏡によって撮影された「砂時計星雲」(MyCn18)という名前の惑星状星雲です。この星雲の中心部分は、まるで「目」の様に見えますが、ここでは一体何が起こっているのでしょうか? 幾何学的な観点から見ると、目のように見える中心部分の構造と、その外側に広がる星雲の構造とでは対称軸が一致していません。この対称軸の不一致は、実は星雲の形成過程を考える上で難しい問題で、天文学者を悩ませています。また、通常は惑星状星雲の中心には外層のガスを放出した後の「星の芯」の部分に相当する白色矮星が存在するのですが、興味深いことに砂時計星雲の白色矮星は、星雲の幾何学的な中心からずれた場所に存在しています。この様な非対称性の中に、砂時計星雲の複雑な形状を理解するためのヒントが隠されていると天文学者は考えています。
(執筆:2019/8/27)

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