上の写真はハッブル宇宙望遠鏡によって撮影された「玉子星雲」です。この星雲は約3000光年の距離にある「原始惑星状星雲」と呼ばれるタイプの星雲です。原始惑星状星雲は、惑星状星雲になる一歩手前の天体です。太陽程度の星の進化が進み、恒星内での核燃料が枯渇しだすと星の外層が宇宙空間に放出されはじめ、徐々に星雲を形成します。星雲のでき初めの時期には、星周物質の密度が高く、中心星からの紫外線が星雲の外側まで届きません。この段階の星雲を原始惑星状星雲と呼びます。やがて星雲の密度が低くなり、中心星からの紫外線放射が星雲全体に行き渡るように成ると惑星状星雲の段階に入ります。惑星状星雲期に入ると、中心星と星間空間からの紫外線によって星雲のガスは完全にイオン化された状態になります。玉子星雲は特徴的な双極状(点対称)の形をしていますが、このような複雑な構造が形成されるメカニズムはまだ完全に理解されていません。
(執筆:2019/8/15)